【今月号特選記事】函館の老舗・五島軒、5代目社長の“ストーリー”と“野望”

 函館山の麓に本店を構える道内有数の老舗洋食レストラン・五島軒。初代・若山惣太郎氏がロシア料理とパンの店として創業し、143年を迎える。

「五島軒」という店名は、初代料理長だった長崎県五島列島出身の五島英吉氏にちなんで名付けられた。

 経営の柱は飲食事業と製造業。近年は新型コロナ関連によりレストラン事業が打撃を受けているが、レトルト製品や洋菓子販売は巣ごもり需要の影響もあり、売り上げを伸ばしている。

 同店は2022年7月からパンの製造販売を開始する。近年、高級食パンの専門店が全国に開店しているが、五島軒のパン製造には、その流れとは大きく異なる“ストーリー”があるという。

パン製造に備え、最新式のオーブンを3月に導入 ©財界さっぽろ

 現社長・若山豪氏は語る。

「五島軒で何か事業を興す時は、函館の歴史や自社の歴史を踏まえて、ストーリーをつけた事業体にしていこうという方針があります。パンの販売もその一つです。私たちがパンを始めるのはブームに乗るためではありません。伝統のレシピを使って、五島軒の歴史の始まりである、ロシア料理とパンの店だったストーリーを伝えながら作っていきます」

5代目の若山豪社長 ©財界さっぽろ

 若山氏は、函館の歴史の語り部となる役割が五島軒に求められていると考える。

「私たちには歴史を長く見てきた自負があります。今の函館では、老舗企業が道外に資本譲渡する例が少なくありません。地元の人がやり続けること自体が最も重要というわけではありませんが、函館の歴史を函館の人が語れなくなるのは非常に悲しいことです。ですから、私たちは歴史を語り継いでいかなければなりません」

 五島軒といえば、カレーを思い浮かべる人が多い。各種のレトルトカレーは全国的人気を誇る商品であり、各地の百貨店でも販売されている。
 
 若山氏は「全国のお客様にはカレーの五島軒というイメージを強く持っていただいています。これは非常にありがたいこと」と感謝の意を示す。

その一方、洋食店としてある“野望”を持っているという。これもまた、函館に根を張っていた五島軒のストーリーに沿うものだ。

五島軒の栄光と危機、復活までの軌跡、若山氏の今後の展望については発売中の財界さっぽろ5月号にて。

 月刊財界さっぽろ2022年5月号は、全国の書店店頭で取り寄せ可能なほか、当社オンラインショップからも購入できる。お買い求めは以下のリンクからどうぞ。

→Webでの購入はコチラ

→デジタル版の購入はコチラ