北翔大学・北翔大学短期大学部

(やまや・けいざぶろう)1952年生まれ。東北大学大学院後期博士課程教育情報学教育部修了。中学校教諭、北海道教育委員会指導主事を経て、97年北海道女子大学短期大学部(現北翔大学短期大学部)初等教育学科助教授。生涯学習システム学部教授、学長補佐、副学長を経て、2018年から現職。
学生が〝化ける大学〟。多様な学びと手厚い支援で成長を後押し
――歴史のある学校法人です。
山谷 本学は1939年創設の「北海ドレスメーカー女学園(現札幌ファッションデザイン専門学校DOREME)」を母体にスタートし、97年に4年制大学を設置した学校法人です。
建学の精神の今日的定義は「常に変化する社会に向かって真摯にかつ創造的に対応できる人材の輩出を目指し、より高い専門性と幅広い教養を身につけた〝自立できる社会人の育成〟」としています。
――貴学の独自性とは。
山谷 建学の精神のもと、開学時から大切にしているのが〝学生ファースト〟です。学生に「寄り添う」構えを大切に、地域づくりや地域貢献できる人材育成を目的として、学生指導や教育研究活動を展開していることが、本学の独自性です。
――具体的には。
山谷 2014年から教育課程と学生指導の基盤に「教育力×支援力」と題したフレーム(枠組み)を構築しました。
教育力は、①入学前教育②基礎・教養科目③専門科目④発展科目⑤就業力養成科目の5つの領域から教育課程を編成しています。
一方、支援力は①入学前②学び・資格③就職・進路④学生生活の4つの支援を掲げています。これらのフレームに基づき、教員と部署が連携して、学生の学びから生活までを親身にサポートできる体制を整えています。
――手厚い支援が特徴です。
山谷「ガイダンスティーチャー制度」を設けており、これは教員1人あたり、5~6人の学生を受け持つ制度です。少人数のため教員と学生の距離が近く、気軽に相談できる環境を構築しました。
また、学習への不安払拭を図る「学習サポート教室」の開講や、16年からは心身機能の障がいを持つ学生に向けた「アクセシビリティ支援室」も開設しています。本学ではこうした取り組みを通じて、誰もが公平かつ充実した学生生活を送れるように努めています。
――部活動やサークル活動に励む学生が多いです。
山谷 運動系は36団体約700人、文化系には19団体約400人が所属しています。学生総数が約2200人なので、半数の学生が活動している計算です。
運動系では「一般社団法人大学スポーツ協会」主催の大学スポーツの総合力を競う競技横断型大学対抗戦「UNIVAS CUP」において、北海道地区総合1位(24~25年シーズン)の成績を収めることができました。
――就職状況や資格取得実績は。
山谷 25年度の就職率は、大学が99・5%、短期大学部98・4%、大学院は100%でした。
国家資格は、保育士80人、精神保健福祉士6人、社会福祉士7人、介護福祉士5人、公認心理師3人が合格しました。
また、教員採用試験の合格者は、幼稚園教諭110人、小学校教諭72人、中学校教諭84人、高等学校教諭92人、養護教諭52人、特別支援学校87人で、卒業生の3割が教員として活躍しています。
先日、朝日新聞社が公表した大学ランキングの教員採用の実績では、本学は北海道・東北地区で小学校教員が4位、中学・高等学校教員が8位と発表されました。これまでの学生支援や取り組みの成果が示されたと考えています。
――目標を明確に持った学生が多いということでしょうか。
山谷 そうですね。教育実習先やインターン企業からも、そのような声をいただいています。
また、学生が自身の出身高校や中学校で教育実習を行った際、当時の担任から「こんなに立派になっているとは思わなかった」という声を聞きます。高校の先生たちからは「北翔大学は良い意味で学生が〝化ける大学〟」とも言われています。ありがたいお言葉です。
――来年度は「生涯スポーツ学科」が誕生します。
山谷 これまでの「スポーツ教育学科」と「健康福祉学科」の2学科構成を1つにし、スポーツに関する8つの専門分野を設けます。乳児期から高齢期までの健康づくりやスポーツ活動に関する支援者を養成する学科です。
――特徴は。
山谷 分野の垣根を越えた学びの提供です。例えば保健体育科教諭を目指す場合、他分野の「アスレティックトレーニング」の知識も修得することで、外傷障害の予防やコンディショニングに関する知識を有した教員になることができます。一人ひとりの目標に合わせた学びの分野をクロスオーバーさせて、将来の可能性を広げていきます。
――今後の大学運営は。
山谷 本学はスポーツ、福祉、教育・保育、芸術、心理の分野を通して、地域社会からの要請に応えるべく発展してきました。今後もこれまで果たしてきた成果を基盤に、地域社会の発展に寄与できる人材育成に努めてまいります。
具体的には、短期大学部では今年度からカリキュラムを刷新し「認定絵本士」と「学校図書館司書教諭」の資格取得が可能になり、教育の充実を図りました。学生確保の厳しさが叫ばれる短期大学部ですが、幼児教育の多様化に伴うニーズに応えるためにも、教育研究活動の充実を図っていきます。
大学では、教職課程のシームレス化を進めます。教員免許の取得については、学校種を超えた免許を取得できるシステム構築を目指します。さらに、心理カウンセリング学科では認定心理士の取得後、公認心理師取得が可能な体制もつくっていきます。
これまで以上に地域に愛される高等教育機関として、時代の変化に柔軟に対応しながら、教育・研究活動に努めていく所存です。

