【今月号特選記事】苫小牧東港・一本防波堤有料開放、勇払マリーナの海上釣り堀…管理組合の“作戦”とは?

 これまで立入禁止だった苫小牧港の一部の防波堤エリアが、4月23日から釣り人に有料で開放された。5月中旬には勇払マリーナでも海上釣り堀が営業を始める予定。どちらも道内初の取り組みで、狙いは釣りを通じた活性化という。

 苫小牧港の東港区内にある「一本防波堤」はこれまで、転落事故の危険性から立ち入り禁止となっていた。柵を設置して有刺鉄線も張り巡らせていたが、その柵を飛び越えて釣りをする人が後を絶たなかった。同港の埠頭周辺でも釣り人と港湾業者間でトラブルが多発。コロナ禍も相まって訪れる人が増えたことも要因の1つとなっており、同港の管理組合は昨年から釣り人への取り締まりを強化していた。

柵の設置された一本防波堤 ©財界さっぽろ

 一方、同港は2020年に、国土交通省が指定する「釣り文化振興モデル港」に選出された。これは既存の港湾施設を活用し釣りを通して地域活性化を図るというもので、同組合は安全対策やトラブルの防止と釣り場開放の両立を模索。昨年秋、有料での試験開放を実施し、定員80人のところに140~150人の応募が殺到した。

 これで手ごたえをつかんだ組合は、今年4月からの同防波堤の有料開放に向けて準備を進めてきた。ただ、試験開放と柵を越える釣り人への取り締まり強化が同時期に行われたことから、地元関係者や釣り人の間ではこの方針を疑問視する向きもある。

苫小牧港で釣りが禁止されていないエリア ©財界さっぽろ

 また、同港の東側にあり、組合が管理する勇払マリーナでは「海上釣り堀」が設置されている。マリーナの指定管理者「ベルポート北海道」が提案したアイデアで、道内各地には川や池を利用した釣り堀が多く存在するが、海上での釣り堀はこれまでなかった。

 勇払マリーナには現在、約200隻以上の船が係留されているが、利用者以外の人が訪れる機会は少ないという。

「船の保有者は年々減少しており、一般の方にも利用してもらう事業として、組合に海上釣り堀を提案しました」と勇払マリーナ支配人の杉本一氏は話す。

  メーンターゲットは釣り初心者、土日祝日のみの営業で釣りざおのレンタルも行う。釣り堀を通して魚を釣る楽しさを知って欲しいという。そこから同じ施設内の別場所にある親水防波堤での海釣り、船を使用した沖釣りにつなげていきたい考えだ。

 発売中の月刊財界さっぽろ2022年5月号では、組合がひねり出したこの有料開放について、釣り人のさまざまな声や組合の担当者を直撃している。

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