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札幌学院大学

菅原 秀二学長
(すがわら・しゅうじ)1957年紋別市出身。79年北海道大学文学部史学科(西洋史学専攻)卒業、88年北海道大学大学院博士課程単位取得満期退学。89年札幌学院大学人文学部専任講師、2003年同教授兼英語英米文学科長、07年札幌学院大学広報入試部長、11年学校法人札幌学院大学常務理事。25年から現職。専門は西洋史学(イギリス史専攻)。

江別市と新札幌の2拠点で地域と共生する大学を目指す

 ――就任初年度です、入試状況と抱負を。

 菅原 2021年の新札幌キャンパス開設後、学生募集は好調に推移しました。今年度も新札幌キャンパスの3学科(臨床心理学科、経済学科、経営学科)は全て定員充足です。

 一方の江別キャンパスにある人文学部と法学部の4学科は実績や歴史はあるものの、ここ数年はその魅力を対外的に再認識してもらうのが課題です。

 当初は新札幌と江別のキャンパス間で循環バスを運行していましたが、コスト高騰や運転手の確保難などの影響で廃止したのも影響しているかもしれません。今後は江別キャンパスの定員維持と回復が急務です。

 ――近年は教員への就職や公務員試験の成績が好調です。

 菅原 「公務員に強い」「教員採用に強い」といった評価をいただいており、エクステンション講座(資格講座)などカリキュラム以外での指導も充実させています。学生の努力もあり、国家公務員総合職など難関試験の合格者数が増加傾向にあります。教員採用も今年は特に好調で、32人が現役合格しました。

 また、社会福祉士は合格者15人で精神保健福祉士は9人。公認心理師は5人で全道の大学で3番目の多さです。

  ――貴学の独自性について教えて下さい。

 菅原 本学の理念は「自律・人権・共生・協働」です。「協働」を体現するものとして、学生同士が相互にサポートし合う「ピアサポート」体制が挙げられます。上級生が下級生を指導する学習サポートやコンピューターが得意な学生が不得意な学生を支援する仕組みなどがあります。学生による支援制度が充実しているので、他の大学からも「導入を検討したい」との声も聞かれます。

 また、留学生を支援する「グローバルチューター」制度でも、学生が日本語の習得や生活面の支援を行っています。

 加えて本学には「サポートセンター」と呼ばれる障がい学生支援に関わる窓口があります。ここを拠点に障がいのある学生を支援する「アクセシビリティ・学生スタッフ」なども育成しています。支援する側の学生にとっては、スキルの向上にもなります。

 また「共生」という点では〝地域とコラボする大学〟を標ぼうしています。まちづくりや再開発の観点から、新札幌のお祭りなど、地域のイベントに学生らが関わっています。

 また、大和ハウス工業との共同研究を行い、社会実験として学内に子ども食堂型のフリースペースを企画運営しました。近傍に医療機関が多い新札幌キャンパスでは、医療機関でのボランティア活動も行っています。

 ――江別市とも連携しています。

 菅原 江別市役所や自治会などと協議会を開催し、除雪の手伝いなど地域活動に参加しています。また江別キャンパスには、15年に誕生した「コラボレーションセンター」があります。「協働」(コラボレーション)をコンセプトとする学びの創造空間です。 学部・学年を越えて学生たちが集い、正課教育はもちろん、ボランティアやサークル活動に「協働」でチャレンジする、そんな空間です。

 そこでは、これまでに学生発案のプロジェクトで商店街の活性化案が話し合われたり、本学の学生に向けて情報を発信する携帯用アプリ開発などが行われてきました。

 また約20年前に開設した「社会連携センター」では、産学連携をしながら全道の高校生や大学生を対象にしたビジネスプランコンテストやコミュニティ・カレッジ(市民講座)も運営しています。

 もともと本学は志がある学生が集まって設立した「札幌文科専門学院」を母体としています。そのため理事会などオーナー主導というより、地域や学生と作ってきた大学という考え方が根付いています。学生と教職員との距離も近いと思います。学生対応窓口にローカウンターが多いのがその証です。学生が腰を落ち着けて相談できるようになっています。

 ――26年度以降の計画は。

 菅原 新たな地域貢献奨学金制度「Ebetsu+」をスタートする計画です。入試の結果および、江別市の活性化を目的に地域貢献の科目を履修し、実際の活動を行うと奨学金が支給される仕組みを検討しています。また、江別キャンパス周辺は新札幌に比べて、アルバイト先も少ないので、学生の生活支援になればとも考えています。

 また、本学の学生は道内への就職率が高く、いわば地域に貢献する人材を育成しています。そのための学部や学科の再編にも取り組みたいと考えています。本学には幅広い教養を身につけさせる全学部共通科目「SGU_Basis」を26年度から開講して、専門分野に片寄らず、1年生からキャリア意識を高めていきます。これを生かしより魅力あるカリキュラムを作っていきたいと思います。

 さらに26年には学園創立80周年、28年に大学設立60周年を迎えます。これに合わせ、27年度に式典やイベントができないか皆で考えているところです。

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