【田中賢介・まだ見ぬ小学校へ】雨竜町長・西野尚志氏と語る(前編)

 本誌連載「田中賢介 まだ見ぬ小学校へ」より、雨竜町長・西野尚志氏を迎えての対談を前後編に分けて全文公開する。以下はその前編。

雨竜モデルの確立が北海道への貢献となる

西野尚志氏 ©財界さっぽろ

子どもへの思いが同じなら成功する

 ――雨竜町と田中理事長とのご縁は。

 西野 雨竜町の職員に教育課長で先名輝彦という者がいて、ファイターズが北海道に移転した2004年から彼を中心に雨竜町を挙げて応援を続けています。

 ファイターズのホームゲーム全試合に、第一生還者賞や第一ヒット賞の賞品としてうりゅう米を提供しています。

 夏にはキッズサマーキャンプというファイターズの合宿型野球教室が行われており、チームのOBの方に来ていただいています。これは全道各地や道外からも参加申し込みがあります。

 そのような縁があり、選手として活躍された田中賢介さんが学校を開校すると伺って、雨竜町としてぜひとも協力したいと考えました。

 田中 僕も現役時代は、うりゅう米を食べていました。ですから、雨竜町といえばお米のイメージが強いですね。

 ――今回のお声掛けについてはどちらから。

 田中 雨竜町でファイターズ担当の方から「田中賢介さんの夢を純粋に応援したい。私たちにできることがあれば何でも言ってください」と連絡がありました。その言葉を頂きとてもうれしかったですし、私の中で地方自治体との連携は必ずやりたいプロジェクトの一つでしたので、どんなことができるのか、という話し合いを持ちました。

 ――田中理事長の雨竜町のイメージは。

 田中 お話を頂き、8月に雨竜町に行きました。町内を一周して、自然豊かですごくいい雰囲気の町だなと感じました。

 西野 その後、田中理事長がキッズサマーキャンプに指導者として参加され、子どもたちと一緒に汗を流してもらいました。

 田中 そのとき、もしこういう自然豊かで、教育にも力を入れている町と一緒に何かできたら、という思いが生まれ、トントン拍子に話が進みました。

 一番大切なことは、子どもに対する思いが一致するかどうかということ。一緒に何かを作っていくというのはパワーが必要です。雨竜町では町長はじめ、町の方々が一致団結していますので、町の大きさ以上のパワーを感じます。

 また、雨竜小学校は最大で一学年18、19人くらい。我々の学校は一クラス26人です。クラスのサイズとしてもちょうどよく、お互いにいろんな行事を実施しやすいと思っています。

 雨竜小は小中連携教育を推進している学校でもあるので、長いプランでいろんなことができます。その点もすごくいいなと感じています。

雨竜沼湿原 ©財界さっぽろ

米作りを最高の 授業、深い学びへ

 ――連携協定の内容について。

 田中 まず、田中学園から英語のカリキュラムをご提案したいと思っています。

 雨竜小専用の英語動画の作成や講師の派遣をします。田中学園の小学1年生も入学時は英語は話せません。そういう意味では、雨竜小の子どもも田中学園の子どももスタートは同じですので、一定の成果は出せると思っています。

 また私たちは雨竜に行って、雨竜小の子どもたちと一緒に田植えや稲刈り体験をさせて頂けたらと考えています。

 田中学園ではうりゅう米を給食で使う予定です。本校の子どもたちは全員うりゅう米を食べて育つわけです。

 西野 マチとしてもこのお話はありがたいです。本当においしいお米なので喜ばれる自信があります。ずっと使っていただけることを期待しています。

 田植え体験などは農村部ではありますが、都会ではないですよね。子どもがそういう体験をすれば、保護者の皆さんにも見学していただく機会が増えるかもしれません。それも良いことだと思います。

 田中 普段食べているお米を自分たちで植えて、できあがったお米を食べるというのは最高の授業だと考えます。そこから学びがどんどん深くなっていくのかなと。そんな機会をいただけるのは幸せなことです。

 今回、新たなチャレンジですので、多少の失敗もあるかもしれません。ですが、雨竜町とならそこも一緒に乗り越えていけると思っています。雨竜町から連携してよかった、と言ってもらえるように我々も全力で取組みますし、この雨竜モデルがいつかたくさんの自治体に広がって行く事を夢見て、まず一歩目のスタートを切りたいと思います。

うりゅう米はライスコンビナート(暑寒の塔)で精選精米される ©財界さっぽろ

◎後編は2月28日公開

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