【今月号特選記事】コンサドーレ・野々村芳和社長のJリーグ新チェアマン内定報道に“政治案件”の影
12月6日、北海道コンサドーレ札幌サポーターにはまさに青天の霹靂が訪れた。スポーツ紙による「札幌・野々村芳和社長、Jリーグ新チェアマンに内定」の一報だ。
2000年シーズンから2年間コンサでプレーし、01年は主将も務めた野々村氏は、解説者や自ら立ち上げたサッカー関連会社社長を経て13年にコンサ社長へ就任。同年から21年までの9年間でクラブ売上高を3倍に、選手獲得や年俸となる強化費は10倍にまで引き上げた。
その結果、クラブは16年シーズンにJ1昇格。翌17年に初めての残留を果たすと、18年からは選手育成に定評のあるミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招聘し、J1定着を実現させた。
解説者時代から歯に衣着せぬ物言いで人気を獲得し、コンサ社長としてもテレビ・ラジオで積極的に情報発信。自らの行動でサポーターの信頼を勝ち取ってきた。
「ノノさんならコンサ同様にチェアマンとしてJリーグを牽引し、成長させてくれる。決まったらこころよく送り出したいけど、誰にもノノさんの代わりはできない。コンサの先行きが不安だ」あるサポーターは率直な心境を吐露する。
Jリーグチェアマンの任期は1期2年で、最大4期8年まで。現チェアマンの村井満氏は2022年3月に4期目の任期満了を迎える。
次期チェアマンの選考は「役員候補者選考委員会」が行い、候補者を理事会に答申。理事会の決議を経て選任される。選考委員は理事、監事、社外理事など理事会の役職ごとに互選で選ぶ。野々村氏も村井氏が4期目を続投することになる前回の選考委からメンバーとなっていた。
この村井氏の4期目の候補選考からは、人事コンサルタント会社「コーン・フェリー・ジャパン」を起用。同社はチェアマンや専務理事など常勤理事について100人近くの候補者をリストアップした上で面接などで数人に絞り込み、選考委が最終的に決める、という過程をたどった。
次期チェアマンについても、20年10月に選考委が立ち上げられ、同様のプロセスを踏んできた。絞り込みの過程はほとんど表に出ていなかったが、21年11月初旬、スポーツ紙の報道でプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルス元社長の島田亨氏の名前が浮上。同記事中では野々村氏とJリーグ専務理事の木村正明氏も候補に残っているとされた。
12月6日の記事はそれに続く2度目の報道だったわけだが、水面下ではこの報道自体についてさまざまな憶測が飛び交っている。
実は、次期チェアマンのポストをめぐる報道自体が“政治案件”している内情が浮かび上がる。
事情通はこう解説する。
「ヴィッセル神戸会長で楽天グループ総帥の三木谷浩史氏が、島田氏をチェアマンに送り込み、J1リーグの上位10~12チームを“プレミアリーグ”化するなど、ビッグクラブ主導による急進的改革を求めている、といった噂が流れた。それをもとにした週刊誌報道もあったが、島田氏の名前が出ること自体が、“三木谷=島田ラインを潰したい勢力”のリークだ、という話がある。野々村氏が新チェアマンに浮上していることはほかのマスコミももちろん知っているが、記事にすること自体が選考に影響を与える“政治案件”になりかねないと二の足を踏んできた」
本日12月15日から雑誌版が発売となった財界さっぽろ2022年新年特大号では、チェアマン内定に報道にかかる野々村氏を取り巻く状況を解説。その上で、コロナ禍で傷んだコンサの財務内容、野々村氏の後継候補についても報じている。
また2022年1月15日発売の財界さっぽろ2022年2月号では、コンサドーレ特集を掲載。野々村氏にはコンサ社長としての2021年シーズンの振り返り、チェアマン説についても直撃したので、どうぞご期待ください。
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