【田中賢介・まだ見ぬ小学校へ】立命館慶祥中・高校長 江川順一氏と語る(前編)

北海道初となる小・中・高の一貫教育実現へ

 本誌連載「田中賢介 まだ見ぬ小学校へ」より記事を抜粋して紹介。田中氏が設立した「学校法人田中学園」は私立小学校設立にあたり、江別市にある立命館慶祥中・高校と連携。連載第1回では同校長の江川順一氏と教育論、連携内容などを語り合った。田中学園が求める教員像、カリキュラムなどについても迫った。以下はその前編から。

 ――双方のつながりは?

 田中 4年ほど前、立命館慶祥中・高がどのような学校なのか興味があり、私が担当しているラジオ番組を通じて、アプローチしました。

 そして、対応してくれたのが当時、校長先生だった久野(信之)さん(現立命館常務理事)と副校長だった江川(順一)さんでした。

 江川 そのときは賢介さんから「小学校をつくりたい」とか、そういう相談はありませんでした。ただ、印象的だったのは、盛んに賢介さんは質問をしてきました。「御校の教育の秘訣・秘密は何ですか」と。

 ですから、教育について非常に興味がある方なんだと感じました。そして、教育論についてお伝えしました。当校は「世界に通用する18歳」を教育理念に掲げています、と。

 田中 話を聞いていると、たくさん共感するところがありました。教育方針も頭ごなしに押しつけるのではなく、ほかの学校の方針を尊重しながらも、当校ではこういう教育をやっています、という姿勢でした。そういう雰囲気が僕はものすごく好きでした。

 だから、すぐに、私が小学校をつくって、立命館慶祥と連携し、一貫校にできたらいいなと思いました。

江川順一氏 ©財界さっぽろ

 江川 賢介さんは一貫教育にこだわっていましたよね。

 田中 子どもたちの学びのスピードを落とすことなく、教育ができるのではないかと感じたからです。

 一方で、進学に際してハードルが設けられない分、子どもたちが壁を乗り越える力が育まれないのではないか、とも。訪問した際にも「一貫校のデメリットは何ですか?」と質問しました。

 江川 中学・高校の一貫校だけども、いろいろなハードルを設けていることを具体的に説明しました。

 田中 不安は解消されました。慶祥と一緒なら一貫校でありながら、子どもたちが壁を乗り越える力を養えるのではないかと感じました。

 ――連携の提案はどちらから?

 田中 私から依頼しました。2年くらい前、学校法人設立のメドが立ったときでした。

 江川 われわれと会って以降、学校開校の準備を着々と進めていたわけです。スピード感に驚きました。でも、それって、私たちのメンタリティーと共通するところでした。

 立命館には「自由と清新」という建学の精神があります。清新とは「誰もしなかったような新しいことに果敢にチャンレンジしていく」という意味と考えています。

 この精神と田中理事長そして田中学園の姿勢が合致していると感じています。今回の連携はそこからのスタートでした。

田中賢介氏 ©財界さっぽろ

 ――どのような連携を?

 田中 田中学園の子どもたちは、一定の条件を満たせば、特別推薦で立命館慶祥中・高に進学できます。このほか、教育活動の発展に向け、交流、協力、連携をしていきます。

 江川 立命館としては、田中学園に理事を派遣します。ただ、立命館からは財政的援助はおこなっていません。その一方で、田中学園から協力金を頂戴して、学校開校に向けたお手伝いをしています。

 設立前の学校法人と連携を図るとして、善意でいろいろとアドバイスをしています。お金もいりません。それでは、うそっぽいでしょう。

 実は、立命館の120年を越える歴史の中で、設立前の学校法人との提携は初めてとなります。連携は1年ごとの更新が基本ですが、田中学園とは6年という年限を結びました。

 立命館は田中学園の児童募集にも協力していきます。そして、子どもたちが小学校に入学して卒業するまでの6年間を立命館としても責任を持って教育の連携を図っていくということを意味しています。

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