【今月号特選記事】あす告示の富山県知事選 保守分裂・弟の新田八朗出馬で大車輪の高橋はるみ

2015年の北海道知事選で、姉で現職の高橋はるみ氏(左)の4選必勝を祈願する新田八朗氏 ©財界さっぽろ

 任期満了に伴う富山県知事選挙があす10月8日に告示される。自民党推薦で5選を目指す現職の石井隆一氏に挑むのが、日本海ガス絆ホールディングス前社長の新田八朗氏だ(ほか1人が立候補予定)。

 新田氏は1958年富山県生まれ。これまでに富山青年会議所理事長、国際青年会議所副会頭、日本青年会議所会頭などを歴任。先頃までは富山経済同友会代表幹事も務めていた地元経済界の大物で、祖父の故・高辻武邦氏も富山県知事を務めた家柄。そして、実姉は前北海道知事で自民党参院議員の高橋はるみ氏だ。

「弟のためならたとえ火の中、水の中」――いまの高橋氏の胸中を察すれば、こんな思いだろうか。実弟とあって、高橋氏はその応援に奔走している。

 8月中旬、高橋氏の姿が都内の東京2020組織委員会事務局にあった。面会したのは同会会長の森喜朗氏。いまなお政界に隠然たる影響力を持つことは周知。

「その席上、高橋さんは森さんに弟の支援を直談判した。森さんは快諾し、応援のビデオメッセージを撮影することになりました。森さんがかわいがる高橋さんの力添えなくして、無理だったと思います」(永田町関係者)

 富山県は全国指折りの保守王国として知られる。県内選出の衆参両議院は、すべて自民党に所属している。
 その中で新田氏は昨年12月、いち早く県知事選への出馬を表明した。だが今年6月に現職の石井氏も5選出馬の考えを明らかにした。保守分裂での県知事選は実に51年ぶりという。

 地元関係者は「激しい保守分裂選挙が繰り広げられている。自民党富山県連は現職の推薦を決定する一方、党本部は深いりせず、静観の構えだ。世論調査では、現時点で五分五分という数字がでている」と話す。

 高橋氏は月に2回以上、週末は富山に入り、新田氏と県内をまわっている。
 高橋氏の知事選でも、投開票日には新田氏が駆けつけていたという。高橋氏も故郷に行き、新田氏と一緒に選挙結果を見届ける予定だ。

本記事を含む2020年10月号は以下からどうぞ。

→Webでの購入はコチラ

→デジタル版の購入はコチラ