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Interview

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職員一人ひとりが地域と向き合う掲載号:2015年11月

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本田幸一 北海道開発局長

1951年に発足して以来、道内における社会資本整備を総合的に実施してきた北海道開発局。人口減少時代を迎える中、いま求められている役割は何なのか。今年7月末に新局長になった本田幸一氏に話を聞いた。

社会資本のストック効果を説明する

本田幸一氏は1946年10月20日、中標津町生まれ。北海道大学工学部卒、同大学院工学研究科修了。83年4月、北海道開発庁に入庁し、開発局建設部道路維持課長、旭川開発建設部長、釧路開建部長、札幌開建部長、開発局建設部長などを経て今年7月末、開発局長に就任した。以下、一問一答。

――北大大学院修了後、国家公務員を目指された理由は。
本田 私がいた北大土木は昔から公務員を目指す人が多い。北海道開発局は全国に先駆けて新しい技術を活用してきました。そういうところに魅力を感じました。
――今までのキャリアで思い出に残っている仕事は。
本田 2003年7月から4年間、中国整備局に勤務しました。開発局と本州の地方整備局との人事交流の一環で、最初の2年は島根県松江の国道事務所長です。中国整備局との所長クラスの人事交流としては、私が初めてだったと思います。
その松江市にある宍道湖は全国的に夕日で有名な場所で、夕方になると湖沿いの国道に見物の車がたくさん止まっていました。
そこで交通安全の観点もあり、駐車スペースを整備しました。前任の所長時代に計画が策定され、ちょうど私が所長を務めていた時に着工しました。これが「宍道湖夕日スポット」として地元の観光資源になり、今でも地域の方々に大変喜ばれています。あらためてやりがいを実感しました。
その後、中国整備局道路部に異動になり、この時、ちょうど日本道路公団の民営化です。それにより、新たな高規格幹線道路の整備方法として新直轄方式が導入されました。
尾道市(広島県)から山を抜け、松江市までつなげる尾道松江線というのがあるのですが、これを新直轄方式で整備するため、準備に奔走しました。地元が大きな期待を寄せていた事業で、ほぼ計画通りに整備が進み、今年3月に全線開通しました。
ところで道内においては、まだ整備が終わっていない高規格幹線道路の路線があります。しっかり頑張っていかなければと思っています。
――3年前に自・公政権に戻るまで、開発予算が削られる時代が続きました。現在の開発局の雰囲気は。
本田 開発予算は元の水準に完全に戻ったとは言えないものの、下げ止まった印象です。また、施設の維持管理、老朽化対策、安全・安心対策にしっかり取り組むという方針が明確になっています。そういった意味では、職員のマインドとしては落ち着いていると思います。
――開発予算について、建設業界では「補正もうれしいが、本予算をもっと充実してほしい」という声をしばしば耳にします。
本田 企業からすれば、経営目標を立案する上で、年度当初の本予算のほうを充実してほしいと考えるのでしょう。補正対応も必要ですが、少しずつでも本予算を増額していく姿が望ましいと私も考えています。
しかし、国の財政状況は厳しく、予算が限られているのも事実です。インフラ整備が実際に地域経済・産業にどれだけ寄与したのか、いわゆるストック効果をきちんと整理し、対外的に説明をしていくことが大切だと思います。各地域の経済界などとも連携をして、こうした取り組みを続けていきたい。

第8期北海道総合開発計画を策定中

――第8期の北海道総合開発計画(2016〜25年度)の策定作業がおこなわれていますが、開発局はいま、どのような役割を求められていると思いますか。
本田 1950年に北海道開発法が施行され、これまで7期にわたり北海道総合開発計画が策定されました。この総合開発計画は本道の発展と同時に、その時々の国の課題解決に北海道が寄与するために策定されてきました。
その総合開発計画に基づいて社会資本整備を一元的に進めるため、開発局は道路、河川、港湾に加え、農業土木なども一体となっている。そこが本州の地方整備局と違うところで、開発局が持つ総合力です。
北海道の食と観光は高い潜在力を有している成長分野です。本道の強みを生かす食料供給力の強化、インバウンド観光の振興などに向け、必要なインフラ整備をおこなっていきます。
――第8期の総合開発計画の中間整理で「世界の北海道」「世界水準の価値創造空間」という言葉が謳われています。どういう意味ですか。
本田 「世界の北海道」には、世界に目を向け、行政のみならず道民が一丸となり、夢と希望のある新しい時代をつくっていこうというメッセージを込めています。とりわけ本道の食・観光には、世界に誇るべきポテンシャルがあります。実際、農水産物の輸出、インバウンドが近年、急増しています。積極的な取り組みを継続していけば、北海道は世界的なブランド力、競争力を持つ地域になり得ます。
一方、北海道は急速な人口減少が進むとされています。定住人口に交流人口を加えた〝活動人口〟をいかに増やすかが鍵を握る。人がさまざまな分野で活発に行動し、新たな価値を創出していく地域社会の形成を「世界水準の価値創造空間」と表現しています。
――「行政と道民が一丸となって」ということですが……
本田 インフラを整備、維持するのが開発局の仕事ですが、作って終わりではない。インフラを効果的に活用し、どうやって地域活性化につなげるかが重要なポイント。そのためには、私たち開発局の職員、一人ひとりが積極的に地域と向き合い、コミュニケーションをとっていく姿勢を持たなければと考えています。
各開発建設部に地域活力支援チームがあり、道や市町村との話し合う地域連携会議もありますが、こうした取り組みをもっと活性化させていきたい。それが結果的に開発局への信頼、期待感にもつながっていくでしょう。

=ききて/野口=