VISIT Partners
ひろちょう・もとき/1985年北海道岩見沢市生まれ。大学卒業後、サッポロドラッグストアーに入社。同社の社内ベンチャーで取締役を務めた後、グループ会社のリージョナルマーケティングに勤務。2023年VISIT北海道を設立。26年9月VISIT Partnersに社名変更。
リテールと伴走するインバウンドマーケター
インバウンドの購買導線をデザイン
――事業内容は。
廣長 国内のドラッグチェーンやスポーツ、アパレル、飲食、百貨店、免税店、商業施設などリテールやメーカーの魅力を発信し、外国人観光客の来店から購買までを支援するインバウンドマーケティング事業を展開しています。
自社で運営する訪日外国人向けの地域オウンドメディア(北海道、沖縄、九州、名古屋、大阪、東京等)の約20アカウントで情報を発信し、クーポン発行などの販促施策まで一貫して支援しています。商品や店舗の特性を理解した上で、海外の旅行者にどう伝え、どう来店してもらい、どう購買につなげるかを一緒に考える伴走型サービスを提供しています。また、体験型旅行の普及を踏まえ、スポーツ小売店を展開する「アルペングループ」(本社、愛知県)とは、マラソンとスポーツ用品の使用体験を兼ねたクロス事業による販促活動にも取り組んでいます。
――インバウンド市場は大きく変化しています。
廣長 団体旅行から個人旅行へとシフトし、中国だけではなく台湾や香港、韓国、東南アジアやオーストラリア、アメリカなどさまざまな国から旅行者が訪れています。こうしたインバウンドを集客するためには、アクセスや営業時間、支払い方法などの基本情報はもちろん、単に「人気の商品です」と紹介するだけではなく、食べ物であれば味わい、家電類なら機能性など、商品の特徴についてより詳細な情報を伝えることがポイントになっています。
発信手法も大きく変わりました。従来の紙媒体やWEB記事に加え、SNSのショート動画が主流になりつつありますが、国によって利用するSNSも〝ささる〟アプローチも異なります。多言語対応はもちろんですが、文化や特性に合わせて最適化することで効率的な集客につなげています。
現場目線の施策で道内外の企業と伴走
――以前はサツドラグループで勤務されていたようですね。
廣長 新卒で入社し、店長、本部を経験した後、インバウンド戦略の社内ベンチャーの立ち上げにも携わりました。これまでの経験を生かして新たな価値を創造したいと2023年に起業しましたが、当時はインバウンドがまだ完全に戻ってきていない状況でした。その後、徐々に市況が回復し、今では道内外の企業にお取り引きいただけるようになりました。小売で培った〝現場上がり〟の視点と提案を大切にしています。
――具体的には。
廣長 一歩踏み込んだインバウンド施策を行うためには、現場のオペレーションが極めて重要だと捉えています。忙しい時間を避けた時限クーポンの配布などはわかりやすい戦略の1つです。店舗がインバウンド需要を取りこぼすことなく、さらに疲弊しない施策を講じることで、訪日外国人へのホスピタリティ向上にもつながります。国内客同様に、国籍問わず顧客満足を追求したいという企業をご支援したいと考えています。
――7月には販促管理クラウド「Promo Cloud」をリリースしました。
廣長 やみくもに販促施策を行うのではなく、「いつ」「誰に」「何回」「どの店舗で使ってもらうのか」を細かく設計できるのが
「Promo Cloud」の特徴です。クーポンの認証、回数、時間、期間などを一元管理が可能で、企業ごとに販促施策を柔軟に設計、運用できます。
クーポン画面が表示される販促ページの専用URLの発行機能もあり、自社媒体や各種SNS、メディアや広告などからインバウンドに配布し、店舗で使ってもらいます。よく起こる問題が、スクリーンショットによる不正利用や重複利用、店舗間違いなどですが、追加認証の項目を加えるなど、事前に対策を講じることができ、運用しながらブラッシュアップも図れます。本部の施策と店舗オペレーションのギャップを埋めていくことも私たちの仕事だと考えています。
――国内大手ドラッグチェーン「スギ薬局」(本社・愛知県)にも採用されました。
廣長 7月からスギ薬局の九州エリアの店舗を対象に「Promo Cloud」を活用した販促施策を開始しました。訪日外国人観光客の店舗送客および購買促進の高度化を図り、小売・流通業界における新たなインバウンド販促モデルの構築を目指します。
――9月1日には社名を変更しましたね。
廣長「VISIT北海道」から「VISIT Partners」に変更しました。北海道だけでなく、日本全国を商圏に拡大するとともに、これまで大切にしてきた地域と世界を〝つなぐ〟という姿勢を、より明確にする意思表示であり、顧客企業と伴走する、新たな価値をつくるパートナーでありたいという思いを込めました。
――今後のビジョンは。
廣長 SNSや動画で興味を持ってもらい、店舗へ誘導し、販促によって購買につなげる。この一連の流れを支援できることが私たちの強みではありますが、北海道をはじめ日本各地には、まだ世界に知られていない商品や企業、地域が無数にあります。今後は、例えば原料生産者の思いや商品開発の背景、地域の歴史など、より深い情報をストーリーとして訴求し、インバウンドの知的好奇心を満たしながら購買意欲を喚起するなど、新たなマーケティング手法にも挑戦したいですね。