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ビビナス

浅野 弥生社長
あさの・やよい/1984年生まれ。2003年歯科助手として札幌市内の歯科医院に就職。在職中に専門学校に通い、06年に歯科衛生士の資格を取得。11年医療法人社団一心会「新札幌いった歯科」勤務。22年に創業し、25年に法人化。歯周病やスポーツ、麻酔分野の認定資格も有する。

歯科衛生士にとことん寄り添う〝歯科衛生士社長〟

歯科衛生士の教育で歯科医院経営を支援

――歯科衛生士の研修、教育を柱に2022年に起業されました。

浅野 現在も非常勤として在籍する医療法人社団「一心会」では、主任歯科衛生士として法人内のスタッフ約50人のマネジメントを担当していました。技術面の指導はもちろんですが、従業員間でのコミュニケーション力も重要だと捉え、アンガーマネジメント研修などにも取り組んだところ、外部の歯科医院や歯科団体から講演や執筆の依頼が続々と舞い込み、歯科衛生士の教育やマネジメントに高い需要があることを実感しました。そこで「これまで培ってきた経験を生かせるのではないか」と起業に至りました。

――歯科衛生士の教育を課題と捉える歯科医院が多いのですね。

浅野 歯科医院は患者さんの対応で忙しく、新人を採用しても先輩スタッフが診療と教育を両立するのは簡単ではありません。指導者がいないまま現場に出て、自己流の技術を身につけてしまうケースも多々あり、スキル面が不十分で自信をなくし、離職につながる場面をこの目で見てきました。教育を内製化せず、外部に委託する。そんな分業の仕組みをつくり、歯科衛生士が長く、やりがいをもって働ける環境づくりをサポートしています。

――「一心会」の関連法人ではないようですね。

浅野 現在も籍を置いていることから勘違いされることも多いのですが、資本関係はなく、単独で会社を立ち上げました。ありがたいことに一心会を含めて多方面から支援の打診をいただきましたが、セミナー講師の選定や研修カリキュラムの企画など、私が理想とするサービスを実現するには、自身の責任のもとでやるしかないと奮起しました。

――25年には研修施設もオープンされました。

浅野 歯科医院に伺っての出張研修だけでなく、院外の研修施設も必要だと感じました。近年の働き方の変化に伴い、そもそも診療時間前後の研修は現実的ではなく、診療時間内だとユニットを教育に割けば受け入れ患者数が減ることになります。そこで実際に歯科医院で使用される無配管ユニットを用いて研修ができる「VIVINAS BASE」を札幌市厚別区にオープンしました。道内で法人として研修施設を構えて教育サービスを提供している例は、私が知る限りほとんどありません。

技術指導とリーダーの育成で価値を高める

――具体的な研修内容は。

浅野 スケーリングや口腔内写真撮影などの技術指導をはじめ、特に〝人を動かす力〟の醸成を心がけています。歯科衛生士は治療やメンテナンスだけではなく、歯磨き習慣や食生活の改善など、患者さんを導く仕事でもあります。相手にどう伝えるかというコミュニケーション能力を磨くことが極めて重要です。新人教育では、まず模型などで基本手技を練習し、次に受講スタッフ同士で相互実習を行います。その後フィードバックを受け、実技テストに合格してから勤務する歯科医院で実際の患者さんを担当してもらいます。

――中堅・ベテラン向けの研修も行っています。

浅野 技術指導のほか、マネジメント研修を提供しています。応用・ステップアップセミナーの開催に加え、全6回にわたるキャリアアップ・リーダーシップ研修も行っています。複数の歯科医院の歯科衛生士が参加するので、仕事に対する姿勢や考え方など、多くの刺激や気づきを得られる機会になっています。

――歯科衛生士の育成は、医院経営にもメリットが多いですね。

浅野 国が推進する予防歯科は、従来の歯石除去といった定期メンテナンスに加え、小児から高齢期までの「口腔機能管理・訓練」へと領域を広げ、歯科衛生士の処置に関わる診療報酬項目が増えています。スキルと人間力の向上が通院患者のドロップアウトの防止や新患の獲得にも直結しますから、歯科衛生士の〝質〟を医院経営の核と捉える歯科医院が増えています。また、当社のような外部の教育機関と連携し成長できる環境を用意しているという点は、新規採用面でも大きな訴求ポイントになると考えています。

――事業開始からの実績は。

浅野 これまでに500人以上の歯科衛生士に関わってきました。創業当初から継続して伴走している歯科医院が大半です。札幌市内をはじめ、帯広や北見など地方からの依頼も増えています。

年6回のセミナー受講料は、1人37万円に設定しています。当社の理念に共感していただき、真に歯科衛生士の教育が必要だと捉えている歯科医院の支援ができればと考えており、安売りで数を増やすつもりはありません。

――今後のビジョンは。

浅野 人員が限られており、現在は新たなご依頼に十分にお応えできない状況で、来年からは理念を共有できるインストラクターの育成を本格化します。ただ、大きな会社にすることが目的ではありません。価値観を共有した少数精鋭のチームで、とことん教育の質を追求したいと考えています。

当社の存在意義は、歯科衛生士に自分の仕事に誇りを持って働いてもらうこと。お客様は歯科医院ですが、寄り添うのはあくまでも歯科衛生士です。事業を通じて職業としての魅力、価値をもっと高めていきたいと思っています。私自身も数年後にはプレーヤーとして臨床の割合を増やしたいと思っています。歯科衛生士の仕事が大好きですから。

2025年に開設した研修施設「VIVINAS BASE」