ほっかいどうデータベース

RAISAN(ライサン)

羽豆 啓仁代表
はず・あきひと/1976年恵庭市生まれ。大学でデザインを学び、道内の家具卸で役員を務めた。2023年に独立しRAISAN設立。

多様な家具を提案し空間づくりを支える

家具卸から特注品製作、メンテナンスまで対応

――社名にはどんな意味が。

羽豆 谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」から取っています。光と影の美しさ、日本的な美意識について書かれた本です。私たちの仕事は大手企業や設計会社などの下に入って仕事をすることが多く、社名が表に出ることはほとんどありません。期待に応えるものを、確実に納品できれば、それでいい。表に出ず、影のようにクライアントを支えるという仕事のあり方と、社名のイメージが重なっています。

――現在の事業内容は。

羽豆 基本はBtoBの家具卸です。商業施設やホテルのラウンジ、飲食店、病院、学校の椅子やテーブルなどの提案からプランニング・発注・納品まで自社一貫で手掛けています。国内外約300社のメーカーと取り引きがあり、幅広い選択肢の中から予算や用途に応じて提案できるのが強みです。将来は1000社を目指しています。一級建築士やプランナーもおり、家具選びだけでなく、図面作成や空間全体の家具プランにも対応しています。また空間づくりは、既製品だけでは対応できないことが多く、特注品の設計製作も行います。クライアント等のデザイナーからスケッチなどで要望をいただき、それを実際に使える家具へと形にします。構造や強度まで考え、商品として成立させています。

――納入実績は。

羽豆 全国の商業施設や店舗設計事務所、建築・内装業者、百貨店建装事業部などが顧客で、全国に納入しています。大手や一流、老舗と呼ばれるところから選ばれ、共に仕事ができることは大変光栄に思っています。表に出せない仕事も多いですが、最近では大阪・関西万博のパビリオンのソファーも製作しました。

――メンテナンスにも対応しています。

羽豆 愛着がある椅子の張り替えなど、規模の小さな修理もできます。例えば休日のないチェーンの飲食店などでは、閉店後の夜に椅子を引き取って、夜中に張り替え、翌朝の営業開始までに納品することもあります。こうした仕事も大切にしたいと思っています。

美唄の店舗を起点に事業の幅を広げる

――今年3月末には、美唄市にインテリアショップ「Bird’s」をオープンしました。

羽豆 もともと小売店をやってみたいという思いは、前職時代からありました。今の仕事は先が読みにくいところもあり、継続的な売り上げが見込める事業を持つことで、会社としても安定するのではないかと考えたのがきっかけです。ただ、それだけではありません。自分が好きなインテリアや家具の世界観を、表に出してみたいという思いもありました。

店名はドイツの照明デザイナー、インゴ・マウラー氏の作品「Birdie’s」から取って、この照明をメインに展示しています。北海道で実際に見ることができる場所は、そう多くありません。実際に触れて、座って、光を感じてもらいたいというのが店の大きなコンセプトです。

――なぜ美唄に。

羽豆 美唄には、あえて札幌へ出ずに地域に根付いたセレクトショップを続けている方がいて、その考え方に共感したんです。地元で活動しているクリエイターとも出会いました。若い人でも美唄が好きで、「この街をどうにかしたい」と本気で考えている人が多いんです。そういう人たちと何かをやりたい。一緒に街を面白くしていく。そういう場所にしていければと思っています。

――オリジナルブランドもある。

羽豆 「ヌート」というブランドを立ち上げ、ポーチやクッションカバー、刺繍を使った商品などを展開しています。今後はペット用品などにも広げていきたい。東京に卸すことなど、いろいろな可能性を考えています。

――今後の会社づくりについて、どのように考えていますか。

羽豆 規模を大きくすることには、それほど興味がありません。会社は一つのプラットフォームだと思っています。そこで関わる人たちが楽しく仕事をし、豊かになっていくための選択肢を増やしたい。それを考えて、実際に形にしていく組織にしたいです。ありがたいことに、異業種から「一緒に働きたい」「面白そう」と言ってくれる人が来てくれています。違う業界を経験している人が入ることで、新しい発想が生まれるのが面白いと思っています。

――課題はありますか。

羽豆 今の仕事は、どうしても私個人に依存している部分が大きい。私がいなくなったら会社が終わってしまうのでは意味がありません。だから、若い人たちにどんどん仕事を渡していきたい。社長がいなくても回る会社にすることが、これからの大きなテーマです。そのために、自分が持っている仕事や人脈を次の世代へ渡しながら、会社の形をつくっていきたいと思っています。

――最後にメッセージを。

羽豆 これまで仕事を任せてくださった元請けや取引先の皆さまには、本当に感謝しています。仕事を通じて築いてきた長年の信頼や人とのつながりは、私たちにとって大きな財産です。これからも期待に応えられるよう、一つひとつの仕事に丁寧に向き合っていきたいと思っています。家具選びだけでなく、店舗や施設のコンセプト段階から関わらせていただければ、もっと幅広い提案ができます。「こういう空間をつくりたい」といった相談でも構いませんのでお声掛けください。

インテリアショップ「Bird's」