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北海道医療大学

三国 久美 学長
(みくに・くみ)千葉大学看護学部看護学科卒業。北海道医療大学大学院看護福祉学研究科看護学専攻修士課程修了。北海道医療大学大学院看護福祉学研究科看護学専攻博士課程修了。1993 年本学就任後、看護福祉学部教授、看護学科長、看護福祉学部長、大学院看護福祉学研究科長を歴任。2024年4月から現職。

データサイエンティストを養成する道内初の学環を開設

――「臨床データサイエンス学環」がスタートしました。

三国 昨年9月に届出が文部科学省に受理され、4月からスタートしました。これで6学部9学科、歯科衛生士専門学校に加え、新たに学環を有する大学として、さらに充実した教育・研究体制を整えたことになります。今後、必ず医療・福祉業界に不可欠な人材の育成につながると自負しています。

――具体的にどのような人材の育成を目指しているのでしょうか。

三国 他大学でもデータサイエンスに関連する学部・学科が創設されていますが、本学では医療・福祉に特化したデータサイエンティストを養成します。医療・福祉業界では、IT人材の不足やセキュリティ対策の不安からさまざまなデータの活用が遅れています。しかし、これらのデータを集約して分析することで課題を見つけたり、解決策を提案することが可能になります。医師や看護師、事務員などが対応しているケースもありますが、専門家であるデータサイエンティストを活用することで、医療やケアに集中できるメリットもあります。

――学環とした意図は。

三国 当然、データサイエンスについての知識や技術などを学びますが、学部ではない大きな特徴として、横断的な学習ができることが挙げられます。本学の4学部を協力学部として、それらの授業をカリキュラムに組み入れています。心理科学部や看護福祉学部、リハビリテーション科学部などの講義にも出席し、人の心と体の仕組みに加えて医療倫理も学びます。

学環とは学部でも学科でもなく、「学部等連係課程」という新しい仕組みで、道内の大学で開設したのは初めてのことです。

――多職種連携教育に強い貴学ならではの取り組みですね。

三国 医療や福祉の現場は、一人の患者・利用者に対して複数の専門家がチームを組んで対応することが一般的です。その基礎を学生時代から学んでほしいというのが多職種連携教育の出発点です。看護師や薬剤師、公認心理師、理学療法士、臨床検査技師などに加えて、これからの医療・福祉にとって重要なデータサイエンティストの卵たちが協力しながら成長してほしいと願っています。

――ほかの特徴といえば現場での実践経験も当てはまりますね。

三国 「臨床データサイエンス学環」でも、3年次からインターンシップとして医療・福祉機関やスタートアップ企業で実践経験を積むカリキュラムになっています。実社会の現状や課題を体感して、職業観・勤労観も身につけられると期待しています。

――文部科学省の「少子化時代をキラリと光る教育力で乗り越える、私立大学等戦略的経営改革支援」に今年度から選定されましたね。

三国 2028年度の新校舎移転を控えている中で、学びの質をさらに高めたいと考えています。医療・福祉分野におけるデータサイエンスとAI教育の強化を軸に、教育のデジタル化(教育DX)と社会連携を一体的に推進しますが、その核となるのが「臨床データサイエンス学環」です。学部の枠を超えた学びをさらに充実させたいと考えています。

――移転の準備も進んでいます。

三国 4月下旬に安全祈願祭が行われ、無事に工事が開始されました。ひと足先に北広島市と包括連携協定を締結し、その後市内の星槎道都大、北広島高校、4月には市内の総合病院である北広島病院とも連携しています。学生の実習受け入れや健康管理への協力なども予定しており、校舎移転に向けて交流がより活発化していくと思っています。今後はさらに北広島西高校と連携する予定です。

――北広島市民からも歓迎されているようですね。

三国 大学と地域をつなぐ取り組みとして「北海道医療大サポーターズ」を設立し、3月に募集説明会を行いました。北広島市民など約60人が訪れてくださり、大変ありがたく思っています。

教員よりも地域の人に言われる方が学生も真摯に受け止められるので、現在も当別町民との関わりを大切にして大学運営を行っています。医療や福祉の仕事は人とのふれあいの中で成長しますので、移転後も市民参加型教育をブラッシュアップし、学生の成長を後押ししたいと思っています。

――学生の成長に必要な要素は。

三国「思考力」と「行動力」は必須です。そして、ヒューマンケアに携わる者としては「意思決定力」も必要だと思っています。患者や利用者と関わる中で得た情報をつなぎ合わせ、「この人にとって最善のケアは何か」を考え、具体的に「何が優先されるか」を判断して行動に移していく。これらを相乗的に高めていける学びの場を提供できるよう、今後も汗をかきたいと思っています。

2028年の北広島市Fビレッジへ移転後の新キャンパスイメージ
医療現場で活用できるようデータサイエンスに関わる科目を設置