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天使大学

二宮 信一 学長
(にのみや・しんいち)1954年生まれ。2011年北海道大学大学院教育学研究院博士後期課程単位取得満期退学。北海道教育大学教育学部釧路校教授、特任教授を経て、23年4月天使大学看護栄養学部教養教育科教授、25年4月から現職。

"人間愛"を礎に、他者に寄り添う力を備えた人材を育む

――学長就任から1年が経過しました。

二宮 就任直後から教職員へのヒアリングを重ね、本学が抱える課題や将来の見通しについて意見を集めました。その内容をもとに、私の任期満了年である2028年までの目標をまとめた「天使大学学長指針‐アジェンダ28‐」を策定しました。

――その内容は。

二宮 本学の存在意義の再定義、18歳人口の減少を見据えた経営管理の強化、学生のニーズに合ったカリキュラム改革と教育の質向上などです。これらは学校法人の中期計画にもひもづけられています。

――貴学ならではの存在意義とは何でしょうか。

二宮 看護師や管理栄養士を養成する大学は、道内にも数多くあります。その中で「なぜ天使大学で学ぶのか」を明確にすることが重要だと捉えています。

これらの専門職は、知識と技術を身に付けるだけで務まる仕事ではありません。命や健康に向き合う対人援助職である以上、人を思いやる心や倫理観が欠かせません。

本学ではそうした専門教育に加え、カトリック教育に基づく「人間愛」を育んでいます。知識や技術の習得を前提として、人に寄り添う姿勢を養うという〝プラスアルファ〟こそ、本学ならではの価値であり、存在意義と考えています。

――道内の医療を取り巻く環境をどのように捉えていますか。

二宮 北海道は全国平均を上回るペースで人口減少が進んでおり、50年には20年比で約26%減少し、380万人規模になると予測されています。札幌市においても、50年に高齢化率が40%に達すると見込まれており、道内の主要都市であっても病院経営が難しくなる〝医療後退時代〟が訪れる可能性が極めて高いと言えるでしょう。

――そうした時代に求められるものは何でしょうか。

二宮 最も重要なのが、健康寿命の延伸です。予防医学の観点から健康を支えることは必須です。その中で、食と健康を支える管理栄養士の役割は一層大きくなりますし、在宅医療を支える訪問看護ステーションも地域医療の重要なカギになると捉えています。

――教育面では、どのような変化が必要でしょうか。

二宮 少子化に伴う子育て支援の重要性や、AIの普及に象徴される社会の急激な変化を考えると、従来型の教育では十分に対応できません。終身雇用や年功序列が崩れ、将来の働き方やキャリアの在り方が変化する中で、学生一人ひとりが自らの将来像を主体的に描くことが求められています。

そうした力を育むことこそ、これからの大学教育に課せられた重要な役割です。社会変化を的確に捉え、自ら課題を見つけて行動できる人材を養成する必要があります。

――AIについての考えを教えてください。

二宮 対人援助職である看護師や管理栄養士は、AIに代替されにくい職種といわれていますが、医療現場ではカルテの記入などで活用が進んでいます。

そこで学生には「AIにできないことを極めなさい」と伝えています。これは先に述べた人に寄り添う姿勢や他者を受け入れる精神などにもつながっています。

――学生に期待することは。

二宮 私個人の願いとして一例を挙げると、札幌以外の出身者の中には、進学後にそのまま都市部に定着し、地元に戻らないケースが少なくありません。しかし、人口減少や医療体制の維持といった地域課題は、北海道全体で向き合うべきテーマです。学生には、こうした課題を〝自分ごと〟として捉え、当事者意識を持って考えてほしい。こんな学生が増えると喜ばしいですね。

――国家試験の合格率は。

二宮 昨年度は看護師98%、管理栄養士が73・3%でした。一方、大学院の助産師は100%、保健師が85・7%となりました。管理栄養士の合格率は前年度を下回りましたが、例年に比べて試験問題の難易度が高かったことが影響したと考えています。そうした中でも、学生たちは最後まで粘り強く取り組んでいました。

――真面目な学生が多いですね。

二宮 試験前になると、土日も大学に来て勉強する学生が見られるほか、平日も午後10時まで教室の明かりがついていることが珍しくありません。目的意識を持って入学した学生が多いため、互いに刺激し合いながら、主体的に学びを深めています。

――看護師・管理栄養士を志す人に伝えたいことは。

二宮 本学での4年間は、資格取得がゴールではなく、その先にある「どのように社会に貢献したいか」を考え、力を養う時間です。誰かの笑顔の中に喜びを見いだせる人は、共に歩みましょう。

予防医学の観点から管理栄養士のニーズは高まる
現場を想定した看護実習で、技術を磨く
さまざまな行事を経験しカトリックの精神を学ぶ