北星学園大学・北星学園大学短期大学部
(なかむら・かずひこ)1965年小樽市生まれ。87年北星学園大学文学部社会福祉学科卒業。同大大学院文学研究科社会福祉学専攻修士課程修了。龍谷大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。ソーシャルワーカーとして勤務後、道内外の大学・専門学校で助教授、教授を務める。17年から北星学園大学で学習サポートセンター長、学生部長、副学長を歴任。24年から現職。博士(社会福祉学)。
2027年に情報科学部を新設予定
社会課題解決型の人材を育成
――2026年3月卒業生の就職状況について教えてください。
中村 全体としては非常に堅調でした。特定の学部だけが突出しているわけではなく、全学的に高水準を維持しています。全国的に社会福祉分野は厳しいと言われていますが、本学では大きな落ち込みは見られませんでした。
――国家試験の結果はいかがでしたか。
中村 やはり福祉系ですが社会福祉士は新卒合格率が約77%まで上がりました。以前は43%程度まで落ち込んだ時期もありましたので、数字だけを見ると改善しています。ただ、本学の国家試験受験者数そのものが減っていることもあり、単純に〝良かった〟とは言い切れないかもしれません。冷静に分析しています。精神保健福祉士は受験した6人全員が合格しました。少人数ですが、志望意識の高い学生が受験した結果だと思います。
――入学状況については。
中村 大学院や編入を含め、入学者数が1000人を超えました。短期大学部の募集を停止後、大学全体の総定員を増やしたわけではありませんので、実質的な回復と言えます。
――好調の要因は。
中村 新設した国際学部グローバル・イノベーション学科(DGi)が非常に好調でした。また福祉系は全国的に定員割れの傾向ですが、本学は入学定員充足率1・05倍程度を維持しました。大学全体でも約1・2倍まで改善しています。大学が変わろうとしている空気感が伝わっているのではないでしょうか。
――大学全体のリブランディングも進めています。
中村 20数年ぶりとなる新学部・新学科設置をきっかけに、25年秋頃から、教職員や学生、学外関係者を巻き込んだワークショップを重ね、本学らしさを言語化してきました。結論としてキャッチコピー「『誰かのために』であふれている」を発表しました。本学には〝自分だけではなく、他者や社会に目を向ける文化〟があり、それを可視化する必要がありました。大学は〝正解を教える場所〟ではなく、〝問い続ける場所〟だと思っています。答えを固定せず、対話を重ねながら考え続ける。その教育文化を表現しました。
――学びの特徴も変わってきています。
中村 PBL(課題解決型学習)やプロジェクト型学修は、かなり浸透しています。社会福祉学はもともと課題解決型の学問ですが、経済や心理、コミュニケーション分野でも現場重視・対話重視へシフトしています。新しいDGiの学生も個性的です。型にはまらず、自分で課題を見つけようとする意識が強いと考えています。
――具体的な成果も。
中村 JICA北海道との連携によるプログラムや起業家精神を養うアントレプレナー教育を強化しています。直近では、「北海道アントレプレナーシップ教育プログラム」で、DGiの1年生が最優秀プレゼン賞を獲得。新しい教育の成果が少しずつ見え始めています。
――新学部を設立します。
中村 現在、設置構想中で内容変更の可能性はありますが、27年度に情報科学部情報科学科を新設予定です。この学科では、社会課題をテクノロジーで解決する視点を重視しつつ、AIやビッグデータの活用などを学びながら、倫理教育も統合する〝文理融合型〟を目指しています。単に技術を学ぶだけではなく、〝その技術を社会でどう使うのか〟を考えられる人材を育てていきたいです。
また、経済、経営、法律、文学、福祉、心理など既存分野との融合が本学の強みで多様なコラボレーションを期待しています。加えて、千歳科学技術大学との連携も強めていきます。
――施設整備も進んでいます。
中村 新棟建設を進めつつ、既存のスペースを生かしPBL型授業教室や学生の共創プロジェクトスペースも増やしていく予定です。工夫しながら学生が挑戦できる環境を整えています。
――特徴的なグローバル教育も。
中村 本学は従来より〝国際性〟を意識した教育を展開してきましたが、DGiでは授業を日本語と英語のハイブリッドで行っています。また国際的な経験を必修化しました。場所は海外に限らず、ニセコ地域などの国際的な現場での研修も含みます。DGiでは、語学留学に留まらず、テーマのある留学を重視しています。
――今後の大学像について。
中村 短大で培った良い伝統はしっかり継承します。その上で、日本語教員養成や学校教員二種免許状の取得(申請中)、グローバル教育、PBL教育など新しい挑戦を加速させていきます。これからの時代は〝単独の専門性〟ではなく、多様な人と協働できる力が必要です。本学は対話と実践を軸に、〝社会とつながる大学〟をさらに目指していきたいと思います。