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日本医療大学

島本 和明 総長
(しまもと・かずあき)1946年10月7日、小樽市出身。71年札幌医科大学医学部卒業。78年同大で医学博士の学位を取得。2004年から同大附属病院長、10年から同大理事長・学長を歴任。16年から現職。

新棟に医療DX・心理の新学部を開設データサイエンス教育を強化

――新学部を設置しました。

島本 「ヒューマンデザイン学部」です。医療DXマネジメント学科と共生社会デザイン学科で構成されています。月寒本キャンパス内に新棟が完成し、医療・福祉分野におけるデジタルを活用する人材の育成と共生社会の実現を担う専門職業人の養成を進めています。

特に医療DXマネジメント学科は、今やトレンドとなっているAI教育やデータサイエンス、情報セキュリティなどを学び、医療現場の課題解決に生かせる人材を育てる学科です。工学的な開発者養成ではなく、医療・介護・福祉の現場でDXを活用できる力を重視しています。文部科学省が進める生産年齢人口と理系人材が大幅に不足する2040年問題に対応。時代に対応するもので、必要とされる教育だと考えています。

――入学状況は。

島本 新学部は想定より少なかった。認可が昨年9月後半になったことで、十分な周知期間を確保できなかったことが要因です。来年度に向けては広報を強化し、教職員一丸で充足率改善に取り組んでいきます。

また、看護学科は99%、放射線や検査系は90%前後と比較的高水準ですが、学科ごとの差もあるため、全体の定員の見直しを含め、改善に取り組んでいます。

――国家試験の結果は。

島本 今年は非常に好調でした。作業療法士、臨床検査技師、精神保健福祉士、介護福祉士では合格率100%を達成しました。看護師、理学療法士も99%と高水準です。残る資格も含め、今後は全9資格で100%を目指して取り組んでいます。

――就職状況は。

島本 医療系は国家試験合格後に内定が決まるケースも多いのですが、現時点では就職率100%となっています。今年も高い就職実績を維持できていると考えています。

――プラスアルファで差を付ける社会で役立つ思考力と行動力の身につけ方について。

島本 本学の建学の精神は「共生社会の実現」です。少子化や2040年問題など社会構造が大きく変化する中で、思いやりを持ち、DXも活用できる医療・福祉人材の育成が求められています。学生ファーストの姿勢を大切にしながら、一人ひとりに適した教育を進めている点です。

――具体的には。

島本 入学前教育として、入学式の前に5日間の集中プログラムを実施しています。高校で未履修の数学・理科分野の補講に加え、医療人としてのマナー教育や認知症サポーター講座も行っています。修了者には証明書を発行し、基礎学力や読解力テストの結果をもとに、入学後も継続的にフォローしています。入学前から友人関係が築けるため、入学後の授業にもスムーズに入っていけます。本学は学生数が比較的コンパクトですので、一人ひとりに合わせた対応ができる点も強みですね。

――入学後の支援体制は。

島本 全学科で「スタートアップ講座」という正規科目を設けています。8講で1単位になる授業で、ノートの取り方からレポート作成、図書館の活用法、グループディスカッションなど大学で学ぶための基礎を身につけてもらいます。入学前教育とセットで、初年次教育の柱になっています。

また、今年からICTを活用して学生ポートフォリオを導入しました。学修成果や課題を可視化し、学生・保護者・教員が共有できる仕組みです。教員同士も学生の状況を横断的に把握できるため、個別支援の質向上になっています。

――実習体制を強化しました。

島本 4月に大学に隣接して訪問看護・リハビリセンターを開設しました。地域包括ケアの実践拠点として機能すると同時に、学生実習の充実にもつながります。大学病院や老健施設との連携に加え、身近に訪問看護の現場で学べる環境が整いました。

――国際交流も進んでいます。

島本 韓国の大学生との交流プログラムを2年連続で実施しています。保健医療学部の学生が4日間現地の寮に滞在し、学生交流を深めています。参加者の満足度も非常に高いですね。

――大学祭が住民から好評です。

島本 毎年3000人以上が来場する「日医大フェス」は、今年から2日間の開催に拡大しました。病院による無料健診やキッズ向けの企画が人気です。

――大学院や通信教育の状況は。

島本 24年に開設した大学院は定員を上回る充足率で推移しており、多職種連携やチーム医療を学べる点が評価されています。通信教育についても、福祉系分野では本道唯一の機関ということもあり、仕事と学びを両立したい社会人からのニーズが高まっています。

――27年度以降の取り組みを。

島本 データサイエンス・AI教育をさらに拡大していく計画です。今年4月から医療DXマネジメント学科で本格的にスタートしていますが、来年度以降は保健医療学部の全5学科にも拡大する予定です。生成AIも含め、医療・福祉の現場で適切に活用できる人材育成を進めていきます。

新棟(上)は各施設と渡り廊下(下円内)でつなぐ