ティーアール
デジタル化で職人依存の脱却と持続可能な経営を推進
板金業界では、職人の経験や勘に頼る工程が多く、品質や生産性のばらつきが課題とされている。こうした中で、デジタル技術を取り入れ進化を遂げているのが「ティーアール」だ。
同社はこれまで培ってきた建築技術や板金技術を基盤に、デジタルを活用した〝脱職人化〟と〝持続可能な経営〟を掲げ舵を切った。
具体的には設計から加工、品質管理といった工程をデータで一元管理し、属人化していた技術を最新機器で補完することで、再現性の高い製造体制を構築。その象徴的な取り組みが、2023年に導入した最新鋭ベンディングマシンだ。
金属加工機械製造の国内大手アマダ(本社・神奈川県)製の同機は、タッチパネルによる高い操作性とIoT機能を備え、加工プログラムを容易に作成できるのが特徴。オペレーターの経験や習熟度に左右されることなく、高精度な曲げ加工を実現している。
導入後は、ベンディング工程の自動化を含めた加工体制の再構築に成功。加工スピードと精度が大幅に向上しただけでなく、これまで個々の職人に依存していた技術の標準化が進んだ。
さらに、ベンディングマシンに搭載された機能を活用し、加工条件やノウハウをデータ化して社内で共有。これにより、少量多品種から量産品まで柔軟に対応できる体制を確立し、業績面にも寄与している。
徳家義従社長は「短納期や少量生産にも柔軟に対応できる体制が整いました。工程全体の見える化が進んだことで無駄を削減し、生産効率の向上にもつながっています」と話す。
こうしたデジタル化の進展は、単なる効率化にとどまらない。工程の見える化によって、現場ではより付加価値の高い業務へとシフト。顧客の要望に応じた最適な加工方法の提案など、従来の「受注型」から「提案型」へとビジネスモデルが変化したという。
さらに人材育成の在り方も変わった。従来のように経験を積み重ねて技術を習得するだけでなく、データをもとに効率的に学べる環境が整備され、若手社員の早期戦力化にもつながっている。職人技とデジタルを融合させることで、技能の継承と高度化を同時に実現。従来の「見て覚える」から「データで学ぶ」への転換は、板金業における新たな人材育成の形といえよう。
「デジタル活用を〝深化〟させながら、新たな価値創出に挑み続けていきます」と徳家社長。