建築事業から鉄道インフラ、スポーツまで業容を拡大 "地域貢献"で成長する「匠」とは
地域貢献をテーマに建築・スポーツ・鉄道事業を展開する「匠」(本社・札幌市、五十嵐秀一社長)。成長が著しい同社の企業理念と事業内容に迫る。
「地域のために行動」を企業理念に業容を拡大
札幌市北区屯田に本社を構える「匠」は、建築事業を軸として2003年に創業。当初は退去後清掃と内装工事を中心としていたが、10年に北海道軌道施設工業株式会社の保線を担当していた企業の事業撤退を機に、その後継として鉄道事業も手がける。
また、21年にはコロナ禍に子供たちの空手の練習場所を確保するための体育館を建てたことがきっかけにスポーツ事業にも参入。現在は、「匠スポーツホール」として一般開放している。幅広いニーズに応えるこうした柔軟な対応力こそが同社の強みだ。
「3つの事業の共通理念は『地域のために行動すること』。建築も鉄道もスポーツホールも、全ては地域貢献事業です。会社規模が拡大しても、初心を忘れないようにしています」と五十嵐秀一社長は語る。
〝建築のよろず屋〟として地域貢献
建築事業では、住宅の新築、リフォームから駐車場などの舗装、建物の解体まで、さまざまなニーズに対応しているほか、商業施設の外・内装工事や飲食店向けの内照式看板制作の提案・施工も行っている。
「匠に相談すれば何とかしてくれると思ってもらえる存在を目指しています。一例を挙げると、2階建て住宅を平屋にしたいという難しい依頼にも対応しました。複数の業者に問い合わせたものの、すべて断られた案件でした」と五十嵐社長。
また、札幌市北区民限定で「ワンコイン修繕」も展開している。ドアノブの修繕など、短時間で対応可能な作業を500円で提供するもので、「こんなこと頼んでもいいの?」という内容でも、気軽に相談できると地域住民に親しまれている。
これまでには、「幼い娘用に〝おままごとキッチン〟を作りたくて資材を購入したが、作り方が分からない」というユニークな依頼にも対応、同社の大工がシンク付きの小さなキッチンを製作した事例もあるという。
「建築のよろず屋として、地域の小さな困りごとに応えていくことが、地域貢献につながると考えています」と五十嵐社長。
道内全域へ広がる鉄道インフラ事業
鉄道事業部では、JR北海道、北海道軌道施設工業株式会社との強固な信頼関係を築き、札幌・室蘭伊達・北見・函館エリアの在来線および函館新幹線の点検・保守・修繕を行うなど、安全で安定した輸送環境の維持に貢献。北海道の交通インフラを支える重要な事業だ。
「鉄路を守るということは、乗客の命と生活を守るということ。〝縁の下の力持ち〟として、これからも北海道の安定輸送を支えていきます」と五十嵐社長は語る。
鉄道事業の業務は大きく2つに分かれる。「軌道・保線工事」は元請全道一社制のもとに北海道軌道施設工業株式会社の一次請けとしてレールや枕木、道床などの点検、交換、補修を行い、列車が常に安全に走行できる状態を維持するために欠かせない基幹業務だ。もう一つは、線路周辺の環境を整える「付帯土木工事」だ。JR北海道入札参加資格認定登録会社として工事を直接受注し、排水路の整備や樹木の伐採などを通じて走行への悪影響を最小限に抑え、安定した運行を支えている。
北海道は雪対策が重要となるが、除雪など冬季の緊急対応にも注力。降雪時には迅速に現場へ出動し、列車運行に支障が生じないよう軌道周辺の除雪や点検も実施している。
「今後は、北海道新幹線延伸工事にも参画し、レールの敷設を担当します。高架橋やトンネル工事が完了次第、速やかにレール敷設工事へ移行できるよう万全の準備を整えています」と五十嵐社長は意欲的だ。
これにともない同社では現在、鉄道事業部の保守点検職員を募集しており、将来の鉄道インフラを担う人材の確保・育成にも力を入れている。(詳しい情報は、本誌96ページの就活特集に掲載)
地域に寄り添う多目的スポーツホール
一方、スポーツ事業部が運営している「匠スポーツホール」(札幌市北区屯田7条1丁目)は、空手の試合コート1面以上の広さが確保されている。
館内は、全面にマットが敷かれており、館内前面には鏡も設置。空手練習場のほか、ヨガやキッズダンスなどの習い事にも使われている。
また、高濃度酸素が血流の改善を促す酸素ボックスも完備し、疲労回復や代謝の向上、ストレス軽減や二日酔いにも効果的と好評だ。
「ボックス内にはテレビを設置し、Netflixなどの動画配信サービスも利用できます。多くの人に、さまざまな用途で施設を活用してもらいたい」(五十嵐社長)。6月頃にはホール横に貸切のプライベートサウナ施設のオープンも予定している。
ホール利用料金は60分1500円と廉価。月契約貸しなどプランも設定するなど、利益を度外視して地域に開放している。「当社を知ってもらうきっかけになればうれしい。今後は冬期に野球ができない子供達のための筋力トレーニング施設としての貸出も予定しています」と五十嵐社長。
さらに同社では、26年から北海道日本ハムファイターズのオフィシャルスポンサーとして、屯田の少年野球チームにプロ野球観戦チケットを配布するなど、地域支援活動も広げている。
今年1月には新たに本社屋が完成した。「地域にとって身近で親しみやすい存在でありたい」(五十嵐社長)という思いが込められたオフィスで、2階にある大会議室は最大85人が収容可能。プロジェクターなどの設備も充実しており、地域の人々が、講習会などに利用できる貸し会議室としても活用予定だ。
「匠」の地域貢献活動に今後も注目していきたい。