森山病院
ちば・しげる/1979年旭川医科大学卒業。97年から同大の精神医学講座教授として携わり、2023年4月に森山病院着任。日本精神神経学会精神科専門医。日本老年精神医学会専門医。医学博士。
精密な脳波検査を実施。認知症早期発見リストも用意
超高齢化社会を迎えた日本において「最もなりたくない病気」と言われる認知症。自立した生活ができなくなるなどが理由だ。
厚生労働省の発表では、65歳以上の高齢者における認知症とMCI(軽度認知障害)の有病率はそれぞれ12・3%と15・5%(2022年)。日本はOECD(経済開発協力機構)加盟国のなかで、認知症患者数の割合が高い。しかし、久山町(福岡県)などの認知症有病率は10年前と比べ減少傾向。健康管理のほか、早期発見と適切な治療によるものとされる。
そんな認知症を脳波の観点から、40年以上研究しているのが「森山病院」で心療内科部門を統括する千葉茂部長だ。「てんかん」「睡眠」「老年医学」を専門とし、認知症の鑑別診断に脳波検査を用いる全国でも数少ないドクターの1人で、旭川医科大学名誉教授でもある。
「当院では、脳波検査により刻一刻と変化する脳機能をリアルタイムで把握します。このため、精密な鑑別診断を行うことが可能です」
認知症は、正常脳からMCI、認知症という順序で発症していく。発症までの期間は数年から数十年と言われ、MCI期に発見して投薬などの治療を開始することで、認知症の予防につながる。MCIの予兆や初期症状は、もの忘れなどごく軽い認知機能障害だけだという。日常生活は支障なく過ごせるため、発見が遅れることが多い。
「自覚がないケースでも、軽微なもの忘れを感じたら勇気を持って受診してほしい。適切な治療が受けられ、認知機能の改善が期待できます。私が作成したMCIの自己診断が可能なチェックリストは、当院のホームページで確認ができます。本人は自発性が失われていることもあるので、ご家族の協力も重要です」
一方で普段の生活では、とくに睡眠に気をつけることを推奨している。就寝中に、原因物質であるアミロイドβが排出されるからだ。
「良質な睡眠のために、アルコールとカフェインは控えること。夜にメラトニンを放出できるよう、昼間にしっかり活動することで、体内時計も狂いにくくなります。また、うつ病や高齢発症てんかん、薬剤などによってもMCIの発症リスクは高まります。気になる疾患をお持ちの方は、早めに専門医の診断を受けることをおすすめします」