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今振り返る、私の思い出紀行 第二十八回 華桜国際サービス社長 于 洪志氏

2005年に中国瀋陽市を訪れた際に撮影した「瀋陽故宮」での一枚。後列の右端にいるのが私。

創業当時に添乗した中国・瀋陽への団体ツアー

 北海道と中国との観光交流の懸け橋になりたいと旅行会社を設立し、20年近くが経ちました。現在は「フォーシーズントラベル」の名前で中国人の訪日旅行業務を主としてやっています。

 創業当初は、アウトバウンドで日本のお客さまの中国旅行の取り扱いが中心でした。これまでに多くのお客さまと一緒に数々の観光地を訪れましたが、特に印象に残っているのは、創業当初から数年にわたって当社をご利用いただいてお世話になった苫小牧市在住のグループの皆さんです。

 このグループは「植苗町新和会」という旅行好きの方々なのですが、毎年20人ほどで海外旅行を楽しんでおられました。

 2005年(平成17年)に相談されたのは、中国・瀋陽への旅行です。瀋陽までは数年前から新千歳から中国北方航空(当時)が直行便を運行していて、また瀋陽は札幌市と姉妹都市という関係もあって、強く希望されました。

 瀋陽は中国・東北地域最大の都市で、人口約800万人。約7千年の歴史を持ち、かつての満州時代には「奉天」として日本と深い関りがあった都市です。

 3泊4日の日程で、世界文化遺産の清王朝発祥の地である「瀋陽故宮」をはじめ、古い歴史を持つ「昭稜」や北陵公園、植物園などを巡りました。こうした旧跡が瀋陽には約1500カ所もあると聞き、この瀋陽近くが故郷である私としても、多少の知識はあったものの改めて驚かされました。

 また、参加者に喜ばれたのは中国版ギネスで「世界で一番古い歴史を持つ」とされる瀋陽の老舗餃子店「老辺餃子館」でした。蒸し餃子で食されることが多い中国の餃子ですが、瀋陽のある東北地方が発祥の地とされ、詰め物の種類も多く、ツアー参加の皆さんも大いに楽しまれました。

 この年以外にも、同じメンバーで香港、上海、北京などを訪れましたが、食べ物では瀋陽の餃子の味が忘れられないという参加者が多くおられました。

 創業20年を過ぎて、大きく変化したのは中国からの観光客の大幅な増加です。創業当時は日本から中国へという顧客が多かったのですが、今は北海道も季節を問わず、中国からのインバウンド客で賑わっています。

 中国の経済力アップが一番の要因なのでしょうが、ほかにもさっぽろ雪まつりをはじめとする季節ごとのイベントや、グルメ、ショッピング、温泉などが北海道の魅力となっています。

また、新しい要素としては、北海道でゴルフを楽しむ中国の旅行客が本当に増えました。

 こうした変化を考えますと、創業当時に運航されていた新千歳―瀋陽間の直行便の復活を願わずにはいられません。その再開した直行便で帰省することが私の願いです。

華桜国際サービス社長
于 洪志氏