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北開技研工業

ドローンを用いた屋根の診断

ゼロカーボンで北海道に貢献。業界団体とも連携

 屋根や屋上に用いられるアスファルト防水は、溶かしたアスファルトやアスファルトをしみこませた防水シートを使うため、防水性や耐久性に優れている。防水工法の中でも歴史が古く、信頼性が高い。

 北開技研工業は、このアスファルト防水を得意とする専門工事業者。札幌本社のほか苫小牧支店や函館支店、関東支店(神奈川県)を構え、特許取得工法の開発など先進的な技術をいち早く導入することで知られ、防水分野から社会インフラを支えている。

 中でも特許を取得した「HT工法」が有名。アスファルト防水に独自の改良を加えたもので、従来は必須だったコンクリートの下地が不要なため、アスファルト防水の長年の課題だった重量問題を克服している。

 中川健社長は「軽量なので建物への負荷も小さく、工期の短縮とコストの削減も可能です。耐火・断熱性能も高い」と話す。

 この工法は北広島市の「エスコンフィールドHOKKAIDO」にも用いられている。世界的にも珍しい開閉式屋根を有するスタジアムだが、積雪に耐えるため、切妻型の三角屋根の特殊なデザインになっており、重量や耐久性の観点から同社が設計段階から携わっている

 常に業界をリードする同社では、環境負荷低減の取り組みを進める。建材メーカーの田島ルーフィング(本社・東京都)「ソーラーベース」を基に、大手自動車メーカーやゼネコンなどと新たな工法も共同開発。特許も取得した。

 これは太陽光パネルの架台や設置する屋根や屋上の防水にかかわるシステムで、HT工法にアスファルト防水の最高峰とも言われるアペックス工法を組み合わせて施工する。高品質な材料を選び徹底した品質管理のもとで施工するため高い耐久性を獲得している。

「長持ちするので改修工事の頻度やコストを減らせます。施工時のCO2も少なくゼロカーボンにも貢献します」と中川社長。

 千歳市内の大規模工場や札幌市内の大型展示場でも施工が予定されている。

 このほか、ドローンを用いた屋上や外壁の防水面の劣化診断や漏水調査も行っている。建物の状況を外部から空撮できるため、作業は1日で済み、従来より費用も抑えられ、自治体などからの受託が増えている。

「当社が重視しているのは売り上げを伸ばすことではありません。防水を通じて社会の悩みを解決し地域に貢献していくことです。業者間の垣根を越えて取り組んでいきたい」と中川社長。

 また、中川社長は各種協同組合の理事長や副理事長を務め、防水業界全体の認知度向上にも寄与している。

 

ドローン(円内)と送信機
中川健社長