北海道電気相互
EVシフトを支援。電力分野から持続可能な社会をつくる
電力を〝つくる・ためる・供給する〟ことに特化した製品の開発やサービスを提供する「北海道電気相互」。元来、電気工事・設計を主事業としていたが、近年はGXやBCP対策に有効な製品開発に注力しており、中でもEV(電気自動車)分野に独自製品を送り出している。
高橋伸和社長は「政府は2035年までに、新車販売におけるEVの比率を100%にすると目標を掲げていますが、普及は進んでいない。充電時間や航続距離など、さまざまな障壁があるが、最大の要因は充電スポットの不足です」と語る。
そこで同社は「EV急速充電器」を開発し、23年から販売している。一般的な充電器の設置費用は、1台約400~500万円程度だが、同社では約300万円程と低価格を実現。設置プランの策定から施工までが含まれており、同社がワンストップで対応する。
また、バッテリー残量が5%以下から満充電までにかかる時間は、普通充電器の約14時間に対して約2時間30分と大幅に短縮。コンビニや商業施設など、人流が多い場所でも回転率を高めることで、充電の待ち時間が解消できる。
さらに、EV車の電欠(バッテリー残量ゼロ)対策には、移動型電源車(詳細は146ページ参照)を開発。〝動く充電スポット〟として機能する。
これらの製品は、東京の大型展示会にも出展され、さまざまな企業や自治体から注目を集め、複数の受注にもつながっている。
EVシフトは環境対策の切り札とされているものの、その実現には多くの課題がある。政府や業界が描く普及目標の達成に懐疑的な声が上がっていることも事実だ。
高橋社長は「EVシフトの潮流が変化していることは確かです。国内では車両価格の高さ、バッテリー性能と寿命への懸念などから、個人向けにEVが普及していくことは難しい。しかし、企業向けではESG投資による企業価値の向上、環境保全など、状況は少し異なります。実際に運送業のEVシフトや、建設業ではEV建機の導入なども進んでいることから、当社では企業向けに焦点を当てていきます」と語る。
同社では持続可能な社会の実現に向けて、今後さらなる製品開発に注力していく。
「電気は我々の生活に欠かせないもの。この分野に携わる当社が、微力ながら皆様の安心安全に努めていき、社会に求められる企業となること。これが当社の目指す姿です」と高橋社長。