向仁会

増加する認知症の受け皿として受け入れ体制を強化
函館市や小樽市を中心に、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、グループホームなど、高齢者福祉施設を運営する「向仁会」。全施設合計で900床以上を有し、稼働率は98%を超える。道内初となる介護医療院を開設した医療法人としても知られている。
阿部智哉理事長は「増加し続ける認知症の人達を地域でどう支えていくのかが鍵。看取りも含めたリハビリなどのケアがより強く求められています。これは社会の深刻な課題です」と警鐘を鳴らす。
主たる拠点となるのが、函館市の同一敷地内にあるユニット型介護医療院「喜郷」と介護医療院「喜郷Ⅱ」。両施設で計238床を有しており、介護医療院として全国トップクラスの規模を誇る。
約4000坪と広大な敷地面積を生かして「函館ファミリークリニック」や「函館市包括支援センター よろこび」、「指定訪問リハビリテーション 絆」を併設。函館ファミリークリニックでは、もの忘れ・脳神経内科や漢方科などを追加した一方で、CTをはじめ医療設備を強化するなど、診療体制の充実が進んでいる。
また、函館市住吉町に運営する高齢者介護・医療・生活支援型総合施設「寛ぎの翔輝 はこだて」は、中核施設となる住宅型有料老人ホーム「泰」が認知症の人の受け入れ体制を強化するために改装中だ。完成は来年を予定している。
「喜郷は近い将来の増築を計画しています。複合施設として看護と介護、リハビリまで一貫したサービスを提供するという我々の役割を果たすため、新たな複合施設の建設も視野に入れています」(阿部理事長)
一方で、昨年には介護保険制度が改正され、今年からは団塊世代が後期高齢者となる「重老齢社会」に突入した。こうした背景を受け阿部理事長は、介護認定制度を〝認知症仕様〟に変えることも急務だと捉えている。
「要介護認定は、身体機能に重きを置きすぎている気がします。認知症の進行度合いを反映させる尺度の導入は必須で、これが確立できれば世界に通用する介護モデルになるでしょう」と阿部理事長。


