アスリートインタビュー

北海道日本ハムファイターズ

【斉藤こずゑのファイターズじゃないと♡】江尻慎太郎氏

北海道の独立リーグにも貢献。でも、“本業”はビジネスマン

もともと元アスリートの支援を

 斉藤 2年前の当コーナーに登場していただいた際には、福岡ソフトバンクホークスの広報を担当する一方で、野球解説などメディアでの活動も精力的にされていましたけど、現在は?

 江尻 いまも変わらず、いろいろやらせてもらっています。基本的にはソフトバンクホークスの子会社「AcroBats(アクロバッツ)」(福岡市)の事業戦略企画担当という肩書きで働いています。

 当社は元アスリートのマネジメント事業などを展開しています。19年8月に設立されたんですけど、立ち上げのときから携わっています。

 社員としての江尻もいるわけですが、同社の専属契約タレントとして、引き続き、野球解説やテレビ出演、講演活動などもおこなっています。

©財界さっぽろ

 斉藤 単純にお聞きするだけでも、とてもお忙しそうですね。

 江尻 そうですね。やばいっす(笑)。ただ、自分自身を含め、もともと元アスリートのセカンドキャリアを支援したいと考えていました。そうして具現化されたのがアクロバッツなんですよ。自分で「やりたい」と言っていた仕事なので、逃げ場がありません(笑)

 斉藤 本業は引き続き、ビジネスマン?

 江尻 そうですね。完全にビジネスパーソンです。メディアに出るのも楽しくて忙しいんですけど、でも、より忙しいのはビジネスのほうで、やりがいも大きいんですよね。

 アクロバッツでは3月1日に新たにYouTube「最強超人!アッツマンチャンネル」を立ち上げましした。このチャンネルの軸も、「元アスリートをセカンドキャリアで輝かせる」というもの。

 同社で映像制作から企画、プロデュース、出演まで、すべておこなっています。面白い仕掛けをしていますので、ぜひご覧ください。

「最強超人!アッツマンチャンネル」 ©財界さっぽろ

 斉藤 それほど、いろいろなことに挑戦しようとするバイタリティーはどこにあるんでしょうか?

 江尻 ん~、逆に言うと、飽きっぽいんじゃないですかね?とにかくいろいろなことをやりたい。好奇心が旺盛とも言えますかね。一つのビジネスだけではつまらないから、色んなものを立ち上げたり、関わったりしたい。

 さまざまな分野に触れたことで、引退してからのほうがスポーツが好きになったんですよね。野球もやるよりも見ているほうが楽しい。現役時代はやっぱりつらさもありましたから。もし、生まれ変わったらまた野球選手にはなりたいですけど、いまからもう1回やれと言われたら、嫌ですね。

 斉藤 そんなことおっしゃいながらも昨年1日限定で現場復帰しましたよね。独立リーグ「北海道ベースボールリーグ」に加盟するレラハンクス富良野BCの選手として。

 江尻 はい。ありがたいことです。楽しかったです。

仕事と野球を両立する独立リーグ

 斉藤 江尻さんは昨年立ち上がったリーグの特別アドバイザーを務めています。また北海道の野球に携わってくれて、うれしいです。

 江尻 僕もうれしいですよ。

 斉藤 一般的な独立リーグだと、シーズン中は野球に専念して、シーズンオフに別の仕事をするスタイルが多いです。でも、北海道ベースボールリーグの場合は、働きながら野球をするスタイルなんですよね。

 江尻 はい。そうすると、仕事に向ける時間も、野球に向ける時間も、同じになります。でも、それで何か生まれるかというと、きちんと両方にコミットしなさいと言われたら、僕は質が上がると思うんですよ。

 リーグに所属している選手たちには、僕のメッセージとしてこう伝えていきたいと思っています。

 いましかできない経験だと思って、体は1つしかないけども、全力で仕事に向かって、もう半分で、誰よりも上手になるように頑張ってほしい、と。

 僕は野球をやってからビジネスマンになりました。その経験から、現役時代からどんな形であれ、ビジネスに触れる機会は大切だと感じています。リーグ側から協力の依頼があったとき、それを実現できる環境があると思ってたので、快く引き受けました。

 斉藤 昨シーズンは2チームでしたけど、2年目の今シーズンは4チームに増えるようですね。構想としてはどんどんチームを増やしていく?

 江尻 ええ。ただ、地域貢献、若者育成などがしっかりできる環境でチームが増えていくことが大切です。現実問題として、しっかりビジネスがまわるものをつくる必要があります。僕を含めた運営者側である大人の責任をしっかりと果たしていきたいです。

マー君加入の楽天、日ハムの順位は?

 斉藤 解説者としてのお話も聞かせてください。今シーズンのパ・リーグの順位予想は?

 江尻 予想はしましたけど、絶対言えない!財界さっぽろでは!言えないってことで察してください……

 斉藤 ということは、ファイターズはすごく下ということですか?

 江尻 申し訳ありませんが、下!あまり補強がないんですよね。

 斉藤 う~ん。いい新人も入っていますけど?

 江尻 エース・有原(航平)が抜けたことは大きいですよ。ファイターズはやっぱり守りのチームなので、有原の穴をどうやって埋めるんだろうと考えたら、答えが見つからなくて。

 斉藤 逆に上位は?

 江尻 1位はホークス、2位は楽天です。

 斉藤 楽天は先発陣がそろっていますね。

 江尻 そうですね。マー君(田中将大投手)を補強できたことは、もちろんすごくいいんですけど、僕は松井(裕樹)を先発から抑えに戻したことが投手陣にとって、よかったかなと思っています。抑えを固定したのは大きいと思います。昨年はみんな、役割がぼ~っとしていましたから。

 ファイターズ時代の経験を言えば、エースはダルビッシュ有、抑えは武田久と決まっていると、それ以外の選手たちは自分の仕事というのが明確にわかるんですよ。自分はどんな役割をすればいいのかと。

 それがわからないままシーズンに入ると、選手たちは「どんな準備をすればいいんだろう?」と悩んでしまいます。やっぱりこれはマイナスです。選手たちにとって、役割を決めてもらうことはとても大事だと思います。

 斉藤 仙台では毎週、東日本放送(KHB)のスポーツ番組「もえスポ」でメインキャスターとして出演しています。仙台ではマー君で盛り上がっているでしょう?

 江尻 おかげさまで!番組も視聴率がいいんですよ。当然、マー君に多くの時間を使っていますからね。


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(えじり・しんたろう)1977年4月30日、宮城県仙台市生まれ。O型。右投げ右打ち。早稲田大学卒。2001年ドラフト自由獲得枠で日本ハムファイターズに入団。10年に横浜ベイスターズ、12年福岡ソフトバンクホークスにトレード移籍。14年シーズン限りで現役を引退。現役時代はサイドスローを武器に、先発中継ぎでフル回転した。引退後はソフトバンクコマース&サービスに入社。その後、福岡ソフトバンクホークスに出向し、現在は「AcroBats(アクロバッツ)」の事業戦略企画担当を務める。ビジネスマンとして働く一方で、解説業などの活動もおこなう。独立リーグ「北海道ベースボールリーグ」の特別アドバイザーも務める。