アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】都倉賢選手

子どもができて感情が増えた

砂川 お子さんがもう7カ月になるんだよね。

都倉 子育てのこと、スナさんにいろいろ聞かないとと思っていて。

砂川 何でも聞いてよ。俺、めっちゃ子育てしてるからね(笑)

都倉 最近思うのは、子どもの成長とともに、親として少しずつ感情が増える、ということ。子どもを愛おしいと思う、ああいう感情は、子どもがいないとほぼ感じることがない。

砂川 自分の親に感謝をする気持ち、というのは芽生えるね。まだ気は早いけど、将来のことは考える?

都倉 うちの子、結構フィジカルが強いから(笑)プロスポーツとかに生かさない手はないと周りから言われていて。でも僕は、その道が辛い道だってわかっていますよね。親としては、ちゃんと生計を立ててほしいとか思ってしまう。

砂川 (笑)。女の子だというのもあるしね。子育ては手伝っているの?

都倉 お風呂は絶対僕が入れますよ。奥さん(ライフスタイルプロデューサー・村上萌さん)も仕事で札幌と本州を行ったり来たりなので、僕が遠征に出ていると、平気で1、2週間会えない。それがあらかじめわかっているから、会える時間はずっと一緒。2部練習の合間に帰宅することも多いですよ。結果論だけではない得点


結果論ではない得点


砂川
 ミシャのトレーニングは、決まり切った動きをするものだとしても、ちゃんと考えている選手とそうでない選手とが、見ていてすぐわかる。

都倉 それはありますね。

砂川 パス1つとっても、適当なのか、狙ったんだけど失敗してしまったのか。その差って、ゲームに必ず出る。

都倉 間違いないです。

砂川 ミシャが練習の最後、みんなを集めてミーティングをする時がある。あれってどういう話をしているの?

都倉 順番にパスをもらって、といった練習があった時、たとえばパスがずれた際に、次の順番の選手が気を利かせてワンツーをしてあげるとか、そういう臨機応変さがほしい、という話をしていました。僕はすごくそういうところが論理的だと思います、ミシャは。こちらもそれに慣れてきて論理として自分の中に落とし込めたら、後はその中で、動きのクオリティや自分の持っているオリジナリティを出していく。より自分のパフォーマンスが上がっていくのが自分でわかります。

砂川 心と体がフィットしてきたと。チームとしてやろうとしていることが前提にあって、それができなかったら試合には絶対出られない。その中にさらにオリジナリティを出していくと。

都倉 昨シーズンも決まりごとはあったのだけど、結局は個の力に頼っていて。得点をしてもある意味結果論だったんです。でもミシャは、もしゴールを決めても「こっちの選択肢は無かったの?」ということを指摘してくる。僕たちからすれば「いや、ゴール入ってるでしょ」って思うけど、結果が良ければ良いとするのではないのだと。先を見据えたチームづくりをしているなって、すごく感じますよ。

砂川 昨シーズンまで、割ととっくんの特徴は出しやすかったよね。スピードや強さ、高さ。それで点が取れるから試合にも出られた。でも今年やり方がガラッと変わって、試合に出られるかどうかという状態になった。だけど、これを乗り越えたら、もっとすごい選手になれそうな気がする。

都倉 出られていない悔しさや焦りは確かにありました。でもそれ以上に、この年齢でこんなに成長できるチャンスはなかなかないので、すごく刺激的だなと思っています。

(構成・清水)

……本誌財界さっぽろ2018年5月号(4月14日発売)にはここに未掲載の内容も満載ですので、ぜひお買い求めください。


→Webでの購入はコチラ
→デジタル版の購入はコチラ

1986年6月16日、東京都生まれ。187センチ・80キロ。川崎フロンターレU-18を経て05年に川崎のトップチームへ昇格。08年にザスパ草津へ移籍し、09年にはJ2リーグ戦で23ゴールを記録。10~13年までJ1ヴィッセル神戸に所属。その後14年シーズンから移籍した北海道コンサドーレ札幌では、これまでに148試合53ゴールを記録している。背番号9、FW