【今月号特選記事】マンション基礎から4メートル…近すぎる新幹線トンネルに住民、鉄建機構の対応は?

 2030年度末の札幌開業に向けた新幹線の工事が進む。市内はほぼトンネル化され、桑園地区のあるポイントではマンションの基礎から約4メートルしか離れていない位置をトンネルが走る。そのため、マンション住民から工事に対して強い不安の声があがっている。

 12月25日に鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、機構)が開いた工事説明会では、住民の発言は時に怒気を帯びていた。予定の2時間を超えた説明会では、住民側から「訴訟」の2文字も飛び出していた。

 このマンションは桑園駅の近くに建つ。北側には、沿道を挟んでJR在来線の高架がある。この沿道を中心軸とした地下に、新幹線トンネルが構築される。

トンネルに近接するマンションの所在地 ©財界さっぽろ

 現在の計画では、直径約11・8メートルのトンネルの端が分譲マンションの敷地にかかる。2棟の内1棟のマンションの基礎とトンネルとは、最短で4・3メートルしか離れていない。

 札幌市内の新幹線トンネルルートには他にも建物の下を通過する箇所があるが、それらの深さは地表から15~60メートルとされる。一方、このマンション付近では地表から約6・7メートルをトンネルが通る。新幹線が地上に出てくるポイントに近いためだ。

「機構の説明では、人が住む建物とこれだけ近い、同様のトンネル工事の事例は、現時点で見当たらないという」(マンション管理組合の理事長)

 東京都調布市の陥没事故を覚えている人は少なくないはず。高速道路のトンネル工事に伴う事故で、全国ニュースとして何度も報道された。新幹線トンネル工事と同様に、シールドマシンを使った工法で地下47メートルの工事だった。

 今回のケースは、それよりもかなり浅い深度の工事だけに、住民が不安を抱くのは無理からぬところ。住民に対して機構は現時点で4つの対策案を提示しているものの、もし決裂した場合、新幹線札幌開業そのものに影響を与える問題になりかねない。

 トンネルを通すには、マンション敷地の地下の一部を必ず利用しなければならない。土地の地下を使用する権利は区分地上権と言われ、管理組合は区分地上権の設定のために規約を改正する必要がある。

 前出の理事長によると、定款改正には総会で4分の3の賛成が求められる。

 区分地上権を機構が得る手続きはもっとハードルが高い。札幌市内の新幹線建設では用地買収や区分地上権の交渉は市に委託されており、担当者は「分譲マンションの場合、全世帯と合意しなければ登記できません」と説明する。

 機構は説明会で「移転補償について考えていない」としている。区分地上権の契約がうまくいかなかった時、何が起きるのかは言うまでもないだろう。

 機構に対し、経緯と現状について文書で質問をしたが、「個別の用地協議に関する交渉の内容などについては、個人の財産に関する内容も含まれるため、機構としては回答はできません」とした。 

 本稿のさらに詳しい記事は月刊財界さっぽろ2022年2月号に掲載。全国の書店で取り寄せ可能なほか、当社オンラインショップからも購入できる。お買い求めは以下のリンクからどうぞ。

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