自民党道連会長人事が決着も、"暫定政権"で第2ラウンド必至!?
自民党北海道支部連合会の会長ポストをめぐる、道内選出衆参国会議員が「6」対「5」に分かれての争いが、きょう5月12日に一応の決着を見た。
道7区選出衆院議員の伊東良孝氏が会長に、前知事で参院道選挙区選出の高橋はるみ氏が会長代行に就任することとなった。
前道連会長で衆院議員だった吉川貴盛氏が、収賄疑惑に絡んで党のすべての職を辞任したのが昨年12月。その後、今年1月になって、参院議員で東京五輪・パラリンピック担当大臣だった橋本聖子氏が後任となった。
だが翌2月、橋本氏も東京五輪・パラリンピック組織委員会会長へ就任するため自民党を離党、道連会長職を下りざるを得なくなった。
伊東氏を推すグループは道12区選出の武部新氏、同9区選出の堀井学氏、比例道ブロックの渡辺孝一氏、参院道選挙区選出の長谷川岳・岩本剛人両氏の合わせて6人。
一方、高橋氏側は、道4区選出の中村裕之氏、道5区選出の和田義明氏、比例道ブロック選出の鈴木貴子・船橋利実両氏の5人。
人数の上では伊東氏が優勢だったが、これまで多数決で決定したことはなく、あくまで話し合いで選出する、という建前。伊東氏のグループは当初、現執行部会長代行・武部氏が会長就任に意欲を見せていたが、現執行部は吉川氏の退任とともに職を辞するべき、として高橋氏側のグループが反発。
その後武部氏が身を退いた代わりに伊東氏が名乗りを挙げたが、この際、武部氏は中村氏にも会長に手を挙げてはどうか、という“相談”をしていた。武部氏・中村氏双方意見の食い違いがあり、それは省略するが、この結果、中村氏が自分と伊東氏に“二枚舌”を使った、と猛反発する一幕があった。
こうした経過から、伊東氏らに対する高橋氏側の不信感は日に日に増大した。さらにもう1つ、両グループ間で激しく対立した問題がある。吉川体制のもとで筆頭会長代行となっていた、長谷川氏の処遇。高橋氏らのグループは、長谷川氏の次期道連執行部からの完全排除を主張したのだ。
吉川・長谷川体制でおこなわれた19年参院選は、高橋氏や全国比例ながら北海道での票を前提にしていた前道連会長の橋本氏にとって、組織づくりや支援体制、さらにはカネの問題に至るまで、非常に不満の残る形での戦いを強いられた。
今秋までにおこなわれる次期衆院選が終われば、来夏に予定される参院選で長谷川氏が改選を迎える。「19年参院選で高橋、橋本がやられたことの意趣返しが念頭にある」(中堅道議)というのだ。
ともあれ、都合5度を数えたトップ会談を経て見出した妥協点は、吉川体制の前執行部の任期満了である、6月26日の自民党道連定期大会までの「暫定政権」とすること。その上で会長は伊東氏、会長代行に高橋氏が就き、長谷川・武部の両氏は会長代行を下りることになった。
5月10日に開かれた自民北海道ブロック両院議員会で“暫定政権”が合意。きょう12日には道議会で自民道連役員会と総務会が開かれ、それぞれ承認された。
表向きはこうだが、10日の会合後、マスコミの取材に高橋氏が「吉川体制の任期だった6月までの予定残任期間を引き継ぐ」と話したのに対して、伊東氏は「あと1カ月で辞めるという話ではない」。さっそく合意を反故にする発言を放ったことで、高橋氏側は「やはり信用できない」と態度を硬化させている。
実際、12日の総務会後、囲み取材に応じた中村氏は「伊東氏の続投は決まっていない。規約をつくってまた選考する」と断言。道連大会に向けて、第2ラウンドのゴングが鳴り響いた。
なお、きょう12日午後3時に、次期衆院選の道2区自民候補者の公募についての記者会見が開催。2区を構成する札幌市北区・東区にゆかりのある者で、推薦人100人を集めるか、両区内22の支部中、両区合わせて5支部からの推薦を得ることを条件に、立候補者を募ることになった。
公募は14日金曜から21日金曜消印有効で、書類選考や面接を経て6月上旬にも2区の自民候補者が決まるが、新道連会長の伊東氏が2区の暫定支部長として、選考にもかかわる。
今週末5月15日土曜発売の財界さっぽろ2021年6月号では、この2区の公募について、すでに応じる予定の3人についてや、選考にかかる内幕を徹底解説している。
あす13日には6月号の記事ラインナップを紹介するので、乞う御期待。