道産子直木賞作家・西條奈加さんを輩出した帯広三条高とライバル・帯広柏葉高“秘話”
前回の馳星周さんに続き、道産子が直木賞に輝いた。十勝でもっとも歴史があり、有数の名門校として知られる帯広三条高校の出身。西條奈加さん56歳。西條さんが故郷を離れてから30年以上が経つが、母校の関係者が寄せる思いは熱い。
校長の合浦英則氏は「非常に喜ばしいことです。西條さんを始め、さまざまな道で活躍されている先輩の存在が、生徒たちのこれからの学びの原動力、刺激になります」と話す。
直木賞発表の夜、自宅で祝杯をあげた同級生の女性も「西條さんの受賞をきっかけに何人もの同級生と久しぶりに連絡を取り、『コロナでいま、みんな大変だけれども、私たちも頑張ろう』と。西條さんから元気をもらいました」と喜ぶ。
先が見通せず、不安と緊張を強いられるコロナ禍だけに同窓生への励ましにもなった。帯広三条高校関係者ならではの喜び方も。それが「柏葉に勝った!」というもの。
地元では、帯広三条のライバルと目されている帯広柏葉高校。その卒業生にも鳴海章さんら著名な作家がいる。帯広三条同窓からすれば「うちが十勝初の直木賞を出した」というわけだ。
両校のライバル意識をひもとくと、伝統の定期戦・三柏戦までさかのぼる。そこで芽生えた対抗意識は卒業後も、折りに触れて顔をのぞかせる。
たとえば、両校の同窓会は毎年1月、帯広市内で新年会を開く。それぞれ開催場所は固定されており、帯広三条はホテル日航ノースランド帯広。帯広柏葉は北海道ホテル。
帯広三条のOBの話。
「昔は開催日も1月15日で同じでした。だから、こっそり柏葉の会場に偵察にいき、戻ってきてから『柏葉の参加者数は〇〇〇人、うちは×××人で多いぞ!』とやって気勢を上げた場面もあったそうです」
ところで、帯広三条の慶事は直木賞だけではない。1月下旬のインターハイで、スケート部が男子学校対抗で全国優勝を成し遂げた。58年ぶり4度目。古豪復活の旗を立てるまでドラマが隠されている。
帯広三条は全国で3連覇した後、スケート部は部員が徐々に減り、廃部の憂き目にあう。
ゼロからの生徒の頑張り、現スケート部の顧問(後藤陽さん)の熱意が歯車を動かす。2009年3月末の職員会議で、次年度からの復活が決定した。今回、再スタートから12年を経ての全国優勝なのだ。
有望選手を各地から集める私立高校もある中、帯広三条は道立高校だ。後藤さんは「力を合わせればメダルを取れる」と選手たちを指導してきた。
後藤さんの脳裏には、インターハイ閉会式に出席した時の選手たちの笑顔が深く刻まれている。
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