「何しに来たの?」2区補選“不戦敗”で山口自民選対委員長の“思い”に地元の不信は増大

「自分の気持ちを伝えたいと思ってきょうは来ました」

 元農林水産大臣の吉川貴盛氏(1月15日に収賄容疑で在宅起訴)が辞職したことにともなう、衆議院北海道2区の補欠選挙(4月25日投開票)について、自民党本部は先週15日、候補の擁立を見送ると表明した。

 それに先立つ1月9日、自民道2区支部は、後継候補として札幌市北区選出の市議会議員・高橋克朋氏へ出馬を要請。高橋氏も15日に上京し自民道連会長の橋本聖子氏と面会するなど、出馬に向けた準備を始めると見られていた矢先のことだったため、まさに寝耳に水。この1週間は2区内を始めとする地元自民関係者から不満がわき上がっていた。

 そうしたことから、自民選挙対策委員長の山口泰明氏がきょう23日午後に来道。不戦敗に至る判断について、2区関係者に説明するとともに、意見交換をおこなった。

 集まった2区関係者らに対し、山口氏は冒頭のように挨拶。その後はマスコミ非公開で、2区関係者と予定をオーバーする約45分にわたり懇談した。

 山口氏は懇談後の囲み取材で、吉川氏とは菅義偉首相も含め1996年初当選組の同期で、派閥(平成研究会=現竹下派)も同じだったことから「吉川氏は本当の盟友だった」と吐露。その上で、候補擁立見送りは自身の判断であり「ある意味で私のわがままかもしれませんので(地元には)理解いただけないかもしれませんが、吉川さんに対する私の友情は理解していただけるのではないか」とも語った。

囲み取材に応じる山口泰明氏(左)。右は自民道連会長代行の武部新氏 ©財界さっぽろ

 懇談でも山口氏は同様の話をしたと見られるが、懇談に参加した出席者の1人は呆れた顔でこう話す。

「吉川と同期で盟友で云々というのは、誰でも知っている話。それをこの場であえて語る理由はただ1つ。秋までにある解散総選挙、つまり“本選”で、長男の隆雅(北区選出道議)を後継に据えたいからだ。菅首相、二階(俊博)幹事長にも了承を得たというが、要するに菅さんから隆雅を後継にしてやれと頼まれたのだろう」

 別の参加者も「たとえば総選挙で高橋氏が公認候補となるよう応援するとか、そういう話なら地元の不満も多少は解消するだろうが、これでは単に菅首相の意向を伝えにきただけ。きょうのこの懇談、何の意味があったのか」と憤る。

 ちなみに、懇談の最後、リモートで参加した自民道連会長の橋本聖子氏が「新人候補」の存在について言及するひと幕があったという。

「新人には果たして誰が当てはまるのか。高橋氏や、北区の一部で待望論がある市議の伴良隆氏なのか、はたまた全く別の候補なのか……」と前出懇談参加者は訝る。

 なお、与党候補不在の2区補選に立憲民主党公認で立候補を予定する松木謙公氏は、26日に立憲党本部で正式に公認の見込み。翌27日に出馬会見をおこなう予定だ。

 2月15日発売予定の財界さっぽろ3月号では、2区補選にかかわる人間模様、本命・松木氏の“死角”などについてさらに詳報する。

 なお月刊財界さっぽろ2021年新年特大号では「吉川貴盛“鶏卵収賄”疑惑」と題した特集を組んだ。吉川氏の70年の半生に迫り、極貧の幼少時代、鳩山家との知られざる縁、妻との死別など、地元誌しか知り得ない貴重なエピソードを掲載。

吉川氏の知られざる一面を紹介 ©財界さっぽろ

 今回、この特集を特別編集する形で、特集部分を中心に12ページをデジタル版として販売する。価格は税込110円となっている。購入は下記のリンクから。

特別編集・吉川貴盛[元農水相]“鶏卵収賄”疑惑の全背景

 また月刊財界さっぽろ2021年2月号では、吉川氏の辞職以後も四分五裂する自民道連の“ていたらく”について「道連会長人事で四分五裂 “自滅の刃”が自民党道連を襲う!」と題した記事で紹介。橋本聖子氏や長谷川岳氏など、自民道連内の国会議員・主要道議会議員などがそれぞれどのように繋がっているのかを人物相関図で詳報している。

 財界さっぽろ2021年2月号は以下の当社公式通販サイトなどからも購入可能だ。

→Webでの購入はコチラ

→デジタル版の購入はコチラ