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自治体・金融・車載・宇宙・AI――北海道発IT企業が描く次の成長曲線

北海道アイエスビー社長
諏訪原 大作(すわはら だいさく)

札幌のIT企業「スリーエス」は4月、社名を「北海道アイエスビー」へ変更した。自治体DXを軸に、金融や車載・組込みなど多分野のシステム開発を展開し、全国から案件を受注。売上高は30億円を突破し、8期連続の増収増益を達成している。宇宙開発や生成AIにも挑む同社の戦略とビジョンを聞いた。

過去最高の売上高で8期連続増収増益   

――今期の成長要因を教えてください。

諏訪原 当社は1979年に札幌で創業したIT企業です。現在は官公庁や自治体向けのシステム開発を主軸に、民間ソフトウェア開発、車載・組込み、金融、携帯端末、クラウドなど多分野のシステム開発から運用・保守まで幅広く手掛けています。

強みは札幌を拠点としたリモート開発体制です。2025年度は、デジタル庁や総務省が推進するDX施策の一環である自治体システム標準化の動きが追い風となり、全国各地から多くの案件を受注しました。

標準化とは、住民基本台帳や子育て支援、介護福祉など住民サービスに直結する20業務を対象に、自治体の基幹業務システムを国の標準仕様に統一し、効率化・互換性・セキュリティ向上を図る取り組みです。一過性ではなく、制度改正や運用改善を伴いながら今後も続く見通しで、継続的な開発・保守需要が見込まれています。

金融分野でも、業務効率化や安全性向上などを背景にシステム標準化が進んでいます。銀行ごとに異なるシステムを業界全体で統一規格化し、共通利用できる環境を整える取り組みです。当社は外為送金システムの新フォーマット対応などを受注し、想定以上の成果を上げました。

さらに、車載・モビリティや家電分野を中心とした組み込み開発も拡大しています。エンジニア体制を強化しながら増加する案件に対応してきました。

その結果、今期の売上高は30億5900万円となり、3カ年の中期経営計画の目標を前倒しで達成し、8期連続増収増益となりました。

――近年は新しい分野にも挑戦されています。

諏訪原 安定した案件獲得に加えて、この1年は宇宙関連分野への本格参入という新たな挑戦の年でもありました。宇宙関連企業との取引も始まり、専任チームを組んで技術開発を進めています。

さらに生成AI分野への取り組みもスタートしました。宇宙やAIは今後大きな成長が期待される分野です。求められる技術水準は高いですが、ノウハウを蓄積できれば長期的なビジネスにつながります。将来の柱となる事業へ育てていきたいと考えています。

社名変更と組織改革で次の成長段階へ

――4月から社名が変わりました。

諏訪原 はい。「北海道アイエスビー」へ改称しました。当社は14年に東証一部上場企業の「アイ・エス・ビー(ISB)」グループに参画しており、「スリーエス」という社名にも愛着はありましたが、グループ全体でISBブランドに統一する取り組みの一環として変更を決めました。ブランドを統一することで営業力や認知度の向上を図ります。社名が変わっても北海道に根差した事業運営であることは変わりません。むしろ〝北海道〟という地名を前面に出すことで、道内企業としての誇りと存在感をより明確にしていきたいと考えています。

――組織力の強化にも取り組んでいます。

諏訪原 IT業界は慢性的な人材不足が続いています。人手不足の時代に〝辞めない会社〟を作ることは最大の経営戦略です。当社では給与水準の引き上げや賞与の上乗せなど待遇改善を進め、首都圏企業と比べても遜色ない水準を目指しています。

採用では新卒や高専卒を含め毎年10~15人を採用しています。プログラミング未経験の文系学生も積極的に受け入れ、グループの研修制度を活用してエンジニアへ育成します。人なくして企業の成長はありません。

――開発オフィスも移転しました。

諏訪原 札幌駅徒歩1分の北7条西2丁目にある野村不動産ビル2階に新オフィス「きたらぼ」を開設しました。面積は旧開発オフィスの3倍で、フリーアドレスや交流スペースを設けています。リモートワーク普及で減った対面交流を補う場として、社員同士のエンゲージメント向上や採用面でも効果を感じています。

――今後の成長戦略について教えてください。

諏訪原 30年に売上高45億円を目標に掲げています。人員増だけで達成できる数字ではありません。後継者不足に悩む企業とのM&Aも前向きに検討していきたい。また、現場の開発スピードや技術基盤を強化するためAIの活用も進めます。ノーコード・ローコード開発にも取り組み、現場の負荷を減らしながら品質を高めていきます。技術の進化は速いですが、最終的に価値を生むのは人と組織です。

――最後に今後の目標を。

諏訪原 目指しているのは「北海道ナンバーワンのIT企業」です。売り上げや規模だけを追うのではなく、10年先も自治体や企業から頼られる存在であり続けたい。北海道で培った組織力と技術力を全国で通用する競争力へと高め、日本のデジタル基盤を支える企業としての確固たる地位を築いていきます。

札幌市北区北7西2の野村不動産札幌ビル2階にある「きたらぼ」
4月から「北海道アイエスビー」に社名を変更