「"産官学の連携による北海道共創"と"ビールの新・体験創造"」で道民の期待を超える
北海道本社代表 兼 北海道本部長
牧野 成寿
まきの・なりひさ/1996年北海道大学法学部卒業。同年サッポロビール入社。旭川支店、札幌中央支店勤務などを経て、2023年取締役執行役員(経営企画・広報担当)就任。25年から現職。
黒ラベルやクラシックでおなじみのサッポロビール(北海道本社・札幌市)が創業150周年を迎える。北海道発祥の企業としての歩みと今後の道内戦略について、牧野成寿上席執行役員北海道本社代表兼北海道本部長に語ってもらった。
開拓の歴史とともに150周年を迎える
――サッポロビールは今年、創業150年の節目を迎えます。
牧野 1876年(明治9年)、サッポロビールの歴史は北海道から始まりました。当時、北海道の開拓を目的に開拓使が設置されました。30種以上の事業と約40の工場が興され、そこで農業と勧業の柱になったのがビール造りです。原料の大麦やホップの調達をはじめ、低温で発酵し熟成させるビール造りには欠かせない氷が豊富に手に入る北海道は、まさに適地だったというわけです。そして札幌にサッポロビールの前身「開拓使麦酒醸造所」が誕生しました。
――北海道と縁が深いですね。
牧野 創業の地という歴史だけにとどまらず、当社では重要拠点と位置づけ多くの機能を有しています。北海道で100年以上前から取り組んできた大麦とホップの育種は、現在も上富良野町の原料開発研究所が担っているほか、富良野、網走エリアなどで大麦あるいはホップを栽培する契約農家様と築いてきた原料調達機能も強みです。
恵庭市にはビール製造工場を有しているほか、 サッポロブランドとお客様の接点・体験の場としてサッポロビール園や北海道サッポロライオンも展開しています。
一方、日本で最も歴史があり、開拓使事業からのビール文化を紹介するサッポロビール博物館は、年間来場者が70万人を突破しました。 150年の歴史を経て今なお「赤星」として愛されている現存する日本最古のビールブランド「サッポロラガービール」など、開拓使麦酒醸造所から続く当社の歴史と北海道とのつながりを知っていただけますのでぜひ足を運んでいただきたいですね。北海道遺産に認定されている施設の保全を進めながら、ビールの歴史をより深く体験できる拠点に進化させるべく、本年7月1日からバリューアップオープンし、入館料を設定するとともに、北海道とサッポロビールの絆を大切にする「道民割」を導入します。
製造業から〝創造業〟へ 多分野との共創を加速
――今後の道内戦略は。
牧野 私たちは北海道で生まれ、北海道の皆様に支えられてきました。道産原料を一部使用し、北海道の食や気候に合った味わいで道民に親しまれている「サッポロ クラシック」は昨年、発売40周年を迎え、過去最高の売上を記録しました。「サッポロ生ビール黒ラベル」や「ヱビス」、「サッポロラガービール」なども好調です。「北海道をもっと元気・笑顔に、もっと強く・豊かに」をスローガンに、道民の期待を超える企業へ、単なる「製造業」から「体験価値創造業」へ進化を遂げ、北海道が抱える課題と可能性に真正面から向き合っています。当社が有する機能や商品・ブランド、営業品質を通じて 北海道が持つ潜在能力を引き出し、未来を切り拓き続けます。
――「体験価値創造業」への具体的な取り組みは。
牧野 これまで以上に多様なイベントの開催や完璧な生ビールの体験機会を増やし、ワクワクするようなシーンを創出することで、一人ひとりの心を動かす新体験を創造していきます。
当社製品・ブランド・営業を通じて多くの出会いと物語が生まれ、道民の皆様に豊かさを提供できる存在になりたいです。
――産学官との共創も積極的ですね。
牧野 当社と同じく、今年で創基150年を迎える北海道大学とともに、共創プロジェクトを進めています。目玉としては、 北大が100年以上前に育種に成功したビール用大麦「北大一号」を一部使用した新しいビールを、今年の夏頃に発売します。「サッポロ クラシック」ブランドの道内限定商品としてリリース予定なので、楽しみにしていてください。
また、札幌市とともに進める地域活性化活動「ビールのまち さっぽろ」を改めて定義し、札幌が日本のビール文化の原点であり、今もその魅力を発信し続ける街であることをアピールするなど、ビールの歴史、文化、観光が一体となった札幌ならではの取り組みを進めます。サッポロビール博物館を起点に、体験版ふるさと納税返礼品なども検討しています。
さらに、沿線とともに北海道を活性化させるというJR北海道様の「スタートレイン計画」に賛同し、新しい観光列車「赤い星」「青い星」をあしらった「サッポロ クラシックJR北海道スタートレインデザイン缶」を昨年11月に発売しましたが、今年は第二弾のリリースを検討しています。
――道内の市場開拓に力を入れているようですね。
牧野 少子高齢化や都市集中など、北海道は日本が抱える課題の先進地域であり、持続可能な事業モデルの構築が今後の国内戦略の指針になると捉えています。北海道発祥の企業として、「北海道は、サッポロビール」と皆様からさらに親しまれる存在を目指し、今後も産学官の垣根を越えたさまざまな共創に挑戦していきます。