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【特別対談】北海道配管事業協同組合青年部2トップ 需要が高まる配管工事業界。今求められる事とは何か

(右)島田 清光
アムテック社長
北海道配管事業協同組合青年部会長
(左)會澤 勝
エーエス社長
北海道配管事業協同組合青年部副会長

大規模工場の進出や再開発などにより、好況が続く道内の建築業界。伴い、配管業界も市場の拡大が続いている。しかし、人材不足やDX化が進まないなど、業界が抱える問題も大きい。そこで、今回は「北海道配管事業協同組合青年部」の2トップに業界の現状とこれからの展望を聞いた。

――「北海道配管事業協同組合青年部」の概要を教えてください。

島田 配管工事を手掛ける道内企業20社が加盟しています。所属しているのは30代前半から50代半ばが中心です。部会などの交流会やイベントなどを開催することが主な活動です。

會澤 組合の周知活動として、パンフレットの作成なども行っています。小学校で授業を行ったり、ごみ清掃活動を主催したりといったように地域への貢献も行っています。

――業界の変遷はどのような状況でしょうか。

島田 多くの人が携わるので一気に変わるのは難しい業界ですが、デジタル化が進んでいます。図面をタブレットで確認したり、勤怠管理を顔認証で行う現場も増えてきました。全自動でパイプを切断するロボットの導入例もありますが、先端機械の普及は道内ではまだ限定的ですね。

――先端技術の導入が道内で進まない背景は。

島田 高額であることと、高齢の職人にしてみると「機械を扱うよりも自分でやった方が」という人が多いと思います。

會澤 そもそもそうした技術や機械があることを知らない人もいます。機器メーカーの展示会もありますが、札幌の展示会でそうした最先端の機械が並んでいるかというと、そうではありません。情報が自然に入ってくる首都圏の企業とは違い、道内では積極的に情報を取りに行かないといけない状況と感じています。

――組合の青年部でも同じような状況ですか。

島田 私どもが所属する日本配管工事業団体連合会では年に1度以上、全国の支部が集まる会合が行われます。各地域の状況や最新技術、工具といった情報を交換する場として機能していますので、全国の最新情報を知る機会になっています。北海道支部では月に1度部会を開いていますので、新しい情報が得られた場合には積極的にお知らせして、意見を交換するようにしています。

――そうした状況の中で、業界にとっての喫緊の課題をどう感じていますか。

會澤 我々の仕事は現場に行って仕事をする職人が絶対的に必要です。1人でできる仕事量には限界があるので、人がいないと仕事を受けられません。人手があれば事業拡大も可能という状況ですが、人手を確保するのはやはり難しいと感じていますね。

島田 私どもの業界だけではなく、ほとんどの業界が人手不足で、外国人労働者の活用が必然という状況になっています。こうした状況の中で、日本配管工事業団体連合会ではネットワークができており、九州での仕事に関西の企業が手伝いに行ったりという事例が多々ある。全国規模でこうしたつながりができれば、地域によって格差がある閑散期と繁忙期のバランスも取れるのではと期待しています。

現在は、メッセージアプリで全国の方たちとやりとりをしている程度ですが、関西ではスキマ時間に職人を派遣するような専用のアプリの開発が進んでいます。道内でも同様のアプリを導入すれば、工期の短縮などにもつながり、業界の発展にも寄与すると思っています。

――組合の活動が仕事の幅にも関わってきますね。

會澤 そうですね。組合での活動は、とにかく情報量が多く、新しい知識も入ってきて視野も広くなります。知識の蓄積は顧客との交渉にも必ず生きてくるので、組合員には積極的に参加してほしいですね。

島田 自社を大きくするために、組合をもっと利用してほしいとも思っています。我々のような職人は単体で動くことも多く、横のつながりは本当に重要です。私自身や會澤副会長もそうですが、組合でたくさん仲間ができました。特に青年部は年齢に関係なくフラットに意見を言い合って、仕事の悩みも相談できる関係性が築かれています。

例えば、仕事で大きな失敗をしたときに、貴重なアドバイスをもらったこともあります。経験者の話はとても参考になりましたし、こうした存在がいなければ立ち直れたかどうか。得難い人間関係が構築できるのも組合の存在意義だと感じています。

――業界の発展に向けて、組合でどのように活動をしていきたいですか。

會澤 求人活動で高校に訪問したときに、担当教員から「年間休日が100日以下の企業では、志望者はほとんど見られません」と言われたことが今も頭に残っています。建設業界全体が発展するには、まずは古い体質から脱却して、世の中のベースに合わせないといけない。インフラを支える配管業は人々が暮らす上でなくてはならないものですから、誇りを持って仕事ができるように業界全体が変わっていく必要があります。有給休暇制度や週休2日制を採り入れる企業も増えてきていますので、その流れを加速するため組合や青年部が率先していきたいですね。

島田 會澤副会長と認識は同じですね。給料など待遇面もよくしていきたい。もちろんバランスよくすべてが向上していくのが理想です。さらに何か一つ他の業界とは違う、飛び抜けていると思ってもらえるような魅力を持った業界にしていきたい。私自身、建設業界は日本の産業構造の中の花形産業だと思って飛び込んできました。同じような思いを持つ若者と一緒に、未来の北海道を創っていけるように組合として、青年部として今後も活動していきたいと思っています。

(ききて・氏家)