ほっかいどうデータベース

今振り返る、私の思い出紀行 第二十五回 エース会長 林 博己氏

クルーズ船からゴムボートで南極大陸に到着。左が私で右が息子の輝明。

神秘的で静寂な世界を体験した「南極クルーズ」の旅

 これまでに30カ国ほど回って世界を旅していますが、今年2月に訪れた南極大陸のツアーは、私の人生の中で最も強く印象に残る旅となっています。

 今回利用したのはJTBが主催した「南極クルーズの旅」で、期間は2月8日から25日までの18日間。札幌からは私と長男の2人が参加し、全国で10人が参加しました。羽田からニューヨークを経由してブエノスアイレスに飛び、そこからチャーター便で南アメリカ大陸南端の都市・ウシュアイアへ向かいました。そこの港からフランス船籍のクルーズ船「ロストラル」(10900㌧)に乗船し、南極半島へ向かいました。

 この大陸間を渡ったドレーク海峡は、世界で最も荒れる海域の一つで、クルーズ船も200人乗りの大きなものでしたが、荒波による揺れが酷く、酔い止めの薬を飲み続けるなどして何とか耐えました。距離は約1000㌔で、地図上では近く見えるのですが、到着まで2日間かかりました。

 大陸に到着すると、港などはないため、近くに停船。そこから10~12人乗りのゴムボートで陸に向かいました。滞在時間は1時間と決められており、乗客は交代でボートに乗り込みました。

 陸に上がると、ペンギンの群れが広がっていました。そこにいたのはアデリーペンギンで、我々人間に驚くことはなく、全く無視されたのが印象的でした。

 南極大陸からは鳥の羽根一つも持って帰ることができないのですが、海に浮いているものは大丈夫とのことで、海の氷を船内に持ち帰り、みんなで水割りを飲んだことが忘れられません。

 クルーズ船から見えた息を吞むような巨大な氷河や氷山の色は、白というよりは青で、古ければ古いほど青く、最後には透き通った氷になるのだそうです。

 訪れた2月は、南半球では真夏で、クルーズ船も1年のうち2~4月の期間しか動きません。今回のツアーは天候に恵まれたのですが、時には風速220㍍のブリザードもあるとのことで、中には「1週間停泊したが1回しか上陸できなかった」という人もいるそうです。

 目の前に広がる静寂に包まれた青と白と黒だけの南極の世界は、本当に言葉では表せない素晴らしいものでした。

 費用は1人500万円かかりました。飛行機をビジネスクラスにしたのもあるのですが、船も豪華でしたし、料理も毎日がフレンチでした。高額ではありましたが、簡単に行けるところではありませんし、とても満足しています。中国からは100人ものツアー客が参加していました。

 現在、息子と2人で撮った1万5000枚の写真をまとめた写真集を制作中です。少しでも南極の素晴らしさを伝えられたらと思っています。

エース会長
林 博己氏