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札幌ヤマグチ

売れ筋商品のボイルタラバガニ(円内)とボイルズワイガニ(左)と生ズワイガ二(右)

〝カニ一筋〟で築いた信頼。自社製造で次なる飛躍へ

 昨年、創業40周年の節目を迎えた水産専門商社「札幌ヤマグチ」。1985年の設立以来、カニを中心とした水産卸に特化し〝カニ一筋〟を貫いてきた。昨年度の売上高は60億円に上り、その8割をカニ製品が占める。カニの年間取扱量は2000㌧を超え、業界では〝カニといえばヤマグチ〟というイメージが定着。確固たる地位を確立している。

 同社の強みは、ロシア産を中心に独自の仕入れルートで築いた圧倒的な調達力にある。インポーターや商社との直接取引で安定供給を実現。道内のスーパーを始め、全国のEC業者や小売店、観光土産店などへの卸売に特化して販路を拡大している。

 物流面では、子会社「ユニックトランスポート」との連携により、原料の調達から納品までを一貫して行う体制を確立。迅速かつ柔軟な対応力が評価され、顧客からの信頼も厚い。

 2021年には、小樽市銭函に自社工場を新設し、製造業にも本格参入。カニ加工事業も内製化したことで、仕入れから加工、品質管理、物流を自社で完結する体制を整えた。

 同工場は、動線の最適化や非接触型センサー、外部からの異物混入を防ぐ腸圧システムも導入するなど、衛生管理と効率性を徹底。2階には品質管理室を設け、最新機器を用いた検査体制も整備。食品安全マネジメント規格「JFS‐B」の認証も取得済みで、保健所や認定団体の検査でも極めて高い評価を得ており、道内屈指の衛生水準を誇る。

 さらに、国内でも希少な3D凍結機を導入し、通常8時間かかる冷凍工程をわずか30分に短縮。解凍後もうま味や色味を損なわない高品質な製品づくりを実現。高品質化と業務効率化の両立に成功している。

 近年はホタテやエビ、ウニなどの取り扱い品目の拡充やOEM、セット商品の開発にも注力し、商品提案力の強化も図る。

 山口和命副社長は「高品質な商品を、安定して届けること。それがわれわれの使命です。卸売業と製造業の2本柱を強化して、売上高100億円企業を目指します」と話す。

 

一つひとつ丁寧に手作業で行う
本社には、いけすを設け、新鮮なカニを提供する
佐々木和久工場長(右)と山口和命副社長
銭函にある北海道工場