札幌ヤマグチ
カニ加工事業を内製化し、高品質・安定供給を実現
1985年設立の水産専門商社「札幌ヤマグチ」は、カニを主軸とした水産卸に特化し、高い専門性を武器に独自の地位を築いてきた。長年にわたり商品知識と調達力を積み上げてきた姿勢が、取引先からの厚い信頼につながっている。
昨年度の売上高は約60億円。その大半をカニ関連製品が占め、年間取扱量は2000㌧に上る。道内でも有数のカニ専門商社として確かな存在感を示している。
同社の強みは、ロシア産を中心とした独自の調達ネットワークにある。インポーターや商社との直接取引により、大量かつ安定的な仕入れを実現。価格と品質のバランスを保ちながら、安定供給体制を構築してきた。近年はEC事業者との取引拡大を追い風に、全国の卸売業者や小売店、観光土産店へと販路を広げている。
卸売にとどまらず、カニ加工メーカーとして製造分野にも事業領域を広げている。2021年には小樽市銭函に自社工場を新設し、加工を内製化。仕入れから加工、品質管理、物流まで一貫した体制を整えた。
工場には国内でも数少ない3Dフリーザーを導入。通常8時間を要する冷凍工程を約30分に短縮し、1日2㌧の冷凍機能を確保した。解凍後もうま味や色味を損なわない品質を維持できる点が特徴で、高品質化と生産効率向上の両立を実現している。委託加工にも対応し、取引先ごとの要望に応じた柔軟な商品開発を可能にしている。
衛生・品質管理体制にも余念がない。工場内のトイレや手洗い場、ドア、シャッターには非接触型設備を採用。換気調整によって外部より気圧を高めた腸圧エリアを設け、異物混入対策を徹底するほか、品質管理室を設置し、専門機器によるカニ製品の自社検査体制を構築。食品安全マネジメント規格「JFS‐B」の認証も取得しており、外部機関からも高い評価を得ている。
物流面では、子会社の運送会社「ユニックトランスポート」との連携により、迅速かつ柔軟な供給体制を構築している。
山口和命副社長は「自社工場の衛生・品質管理水準は、カニ業界でもトップレベルだと自負しています。26年はホタテやエビ、ウニなど取扱品目の拡充に加え、OEMやセット商品の開発にも注力し、提案力の強化を進めていきます。卸売と製造の二本柱を磨き、さらなる成長につなげたい」と語る。