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あすか税理士法人

中野 研
なかの・けん/1979年苫小牧市生まれ。小樽商科大学商学部卒業。大原簿記専門学校講師や茨城県内の税理士事務所勤務を経て2013年税理士登録。15年あすか税理士法人入所。20年あすか行政書士法人代表社員就任。

タワマンなどの相続対策や路線価高騰に対応

 相続税などの算定基準となる道内の土地価格「路線価」が上昇している。23年の道内平均は対前年比で6・8%増と2年連続で全国トップの上昇率だった。

「あすか税理士法人」の中野研税理士は「1平方㍍当たりで1〜2万円、土地の規模によっては数千万円単位で値上がりしています。税額の上昇は避けられないため、専門家によるシミュレーションで相続税を再確認することが資産防衛の第一歩になります」と話す。

 同法人は、札幌市内を中心とする6拠点体制を展開。道内トップクラスの税理士数を誇り、企業経営者や資産家、富裕層などの税に関するあらゆる悩みに応えている。特徴的なのは拠点の1つを「資産・相続対策」に特化させ、専属税理士を在籍させていること。税務申告代行はもちろん、相続や贈与税のシミュレーションから節税対策まで担う。グループの「あすか行政書士法人」とも連携。相続手続きや遺言書作成も代行している。

 2024年適用開始の税制改正にも対応。特に事実上の増税となる生前贈与の周知を図る。

 齋藤千尋税理士は「相続税対策の主流だった生前贈与は、暦年贈与と呼ばれるもので、贈与時には毎年110万円を上限に非課税となります。これまでは相続開始3年前までのものは、課税対象でしたが24年以降は段階的に7年前までに広がることが決まっています」と話す。

 これに対して、相続時精算課税制度には年110万までの基礎控除が創設された。

「生前贈与については選択肢が広がった格好ですが、財産額や家族構成は個人差があり、何が最適かは人によって異なります。相続の時期や資産状況などをふまえた総合的な判断が必要です」(齋藤税理士) 

 さらに分譲マンションの相続評価額も算定方法が見直される。高騰を続けるマンション高層階の実勢価格と公的な評価額の差を埋めるもので、購入価格より相続税の申告額が大幅に下がる〝タワマン節税〟が不可能になる。

 齋藤税理士は「改正後はおおむね、その購入目的に関わらず高層階ほど評価額も高くなる傾向にあるため、投資や節税目的ではない一般のマンションも影響を受けます。総階数などで変化しますが、特に築年数が浅い物件は顕著で、例えば30階建ての高層階では評価額が2倍、10階建てでも1・5倍ほど増える試算となった物件もあるので注意が必要です」と警鐘を鳴らす。 

 

齋藤 千尋
さいとう・ちひろ/小樽市出身。札幌市内の会計事務所や税理士法人で勤務。相続税の申告のほか中小から大手まで企業案件にも多数携わる。2022年にあすか税理士法人に入所。