堀達也元知事、堰八義博道銀元頭取……北海道観光振興機構の新会長候補・小金澤健司氏の"老壮青人脈”

 北海道観光振興機構の新会長に、アイティ・コミュニケーションズ会長の小金澤健司氏が就任する。6月27日の理事会で正式に決定する見込みだ。

 機構のトップ人事は5月23日、北海道新聞が報じた。ただ、小金澤健司氏って誰?という声があったのも事実である。

 機構は道内経済団体の一角に数えられ、歴代トップはJR北海道や北洋銀行、北海道電力、北海道銀行といった道内の名だたる企業の出身者だった。一方、小金澤氏のアイティ・コミュニケーションズは成長を続ける優良企業ではあるものの、コールセンター事業を主としており、BtoB分野だけに一般にはなじみが薄い。

 しかし、コールセンター業界では、特色ある企業としてかねて注目の存在だ。非正規雇用が少なくない業界において当初から正社員雇用を徹底し、人材育成に投資。システムを自社開発し、ウェブコールセンターにもいち早く取り組んだ。先行大手がいる中、先進的なコールセンターとして受注を次々と獲得し、全国各地に拠点を展開。2014年にはベトナムに進出している。

 また、小金澤氏は道内の食と観光にかかわる、北海道マーケティング総研の社長も務めている。

 今回、小金澤氏が新会長に就く背景には、幅広い人脈があった。

 小金澤氏は愛知県出身。オリックスに勤務後、脱サラ。関西の某企業のグループ会社として2000年にアイティ・コミュニケーションズを設立し、社長に就任した。

 会社設立の前、コールセンター事業に将来性を見い出した小金澤氏は複数の都市をリサーチ。札幌に可能性を感じ、単身で乗り込んだ。月刊財界さっぽろ2013年11月号掲載記事「来春ベトナムに 進撃の地場コールセンター」で小金澤氏はこう述べている。

「札幌駅前にあったビズカフェのオープンセレモニーで、名刺交換をしたのが、札幌での活動のスタートでした」

 小金澤氏はいちから人脈を築き、強力な助っ人を得た。その人脈は北海道大学産学・地域協働推進機構特任教授の山本強氏、ソフトフロント創業者の村田利文氏らIT分野だけではない。政界では元北海道知事の堀達也氏との関係も深い。

 さるメディア関係者は「堀さんを慕い、時には運転手役まで務めていたほど」と振り返る。後に小金澤氏は、堀氏をグループ会社の役員にも迎えた。

堀達也氏(左)と堰八義博氏 ©財界さっぽろ

 北海道銀行元頭取で特別顧問の堰八義博氏とも親交があり、ドライブを一緒にしたこともあるとか。道内宿泊企業の複数の経営トップとも親しい。さる関係者が明かす。

「小金澤さんを機構のトップに、という待望論や擁立論は、道内宿泊業界の若手経営者らから持ち上がった。小金澤さんは重鎮らだけでなく、若手経済人からも信頼されている」

 打診を受けた当初、小金澤氏は、任にあらずというスタンスだった。その後、信頼する複数の友人らに相談し、決意を固めたようだ。

 6月に発足する小金澤新体制は、抜本的な組織改革を行うと言われており、外部メンバーで構成される改革プロジェクトチームを設置する模様だ。

 6月15日発売のでは関係者から入手した資料をベースに、機構の組織改革プランを詳報する。