【田中賢介・まだ見ぬ小学校へ】田中学園教員と語る(後編)

 本誌連載「田中賢介 まだ見ぬ小学校へ」より、「イマージョン教育」「LINK(リンク)」などのカリキュラムを作成する3人の教員との対談を前後編に分けて全文公開する。以下はその後編。

小学校の核となるカリキュラムづくりに奔走

どんどんトライしていく子供を育てる

 ――田中学園の学校目標は「世界に挑戦する12歳」です。先生たち自身にも何か挑戦してもらいたい?

 田中 学校として宣言しているので、ぜひとも取り組んでもらいたいと思っています。ある意味、先生たちの失敗も受け入れる覚悟です(笑)

 上西 私は中学校と高校での勤務経験のみだったので、幼児教育であったり、小学生への教育を勉強することに挑戦しています。小学校教育に関する書籍も読んでいます。

 あと、個人的にはTOEICで満点(990点)をとるとか。中国語も学び始めました。他言語を勉強することで、ほかの教科の先生の大変さもわかるかなと思いまして。

 冬野 今、田中学園から自分たちを成長させる時間をもらっています。個人的には、山形先生もそうなんですけど、大人になってから、英検を受けたりしています。

 山形 田中学園の授業では1年生からタブレットを積極的に用いて行います。今、どう活用できるかについて、トライしているところです。

 あと、教室でホワイトボードを使うことですかね。私は“古いタイプ”の先生なので、黒板にチョークでガリガリ書いて、教えるということが染みついているので。これも、私としては挑戦になります。

  ――どのような子供たちを育てていきたいですか。

 山形 田中理事長が掲げる「チャレンジ」をやっぱり“ど真ん中”に持っていきたいですね。面白がりながら、楽しみながら、どんどんトライしていく子供たちを育てていきたいです。

 上西 田中学園では英語教育にも力を入れていきます。ただし、英語教諭としての経験で言うと、使いこなせるようになるのは決して簡単なことではありません。

 ですから、子供たちが英語の授業を通じて、難しい状況に陥ったとき、何とか聞いてみよう、話してみよう。何とかしてネーティブな先生とコミュニケーションをとってみようとか。そういうことにトライしてもらいたいです。

 つらいことに直面した際、頑張って乗り越えた先に、世界は広がる。子供たちに最も伝えたいことです。

 冬野 当然、高い学力を持った子供たちを育てていきたいという思いもあります。今回の鼎談の3人でいうと、山形先生は小学校、私は小学校と中学校、上西先生は中学と高校の経験があります。さまざまな教育者たちが小学校教育のカリキュラムをつくっていることが、田中学園の強みでもあります。

 ――理事長・田中賢介氏の印象は。

 山形 ダメなものはダメ、やってほしいことはやってほしいと断言します。我々は迷わず突き進める。そういう意味で優秀な上司だと思います。

 冬野 上司論というか、そういう話でいうと、こちらから、こういうことをやりたいと提案すると、一般的な組織であれば、上層部が「ちょっと待て」と止めるじゃないですか。田中学園では逆です。理事長が「これをやりたいんだけど、どうしたらいい?」というところからスタートしたりします。それが新鮮です。

 上西 中には無理難題もあったりするんですけど、ビジョンが明確なんですよね。田中理事長がいい意味でガンガン言ってくれるから、我々も何とかしようという意識が働く。要求があって、悩んで、結論にたどりついて。また悩んで、たどりついて。それがすごくいいサイクルだと感じています。

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“ぶっ壊す”と最後にいいアイデアが

 田中 私がカリキュラムをつくったり、子供たちを指導したりすることはできません。もともと教育畑の人間ではないので。だからこそ、僕の役割は“ぶっ壊す”だと思っています。

 先生たちが持っている能力はすごいんですよ。ですから、無理難題に対しても、もっといい案、いい答えがあるでしょうと、僕が〝たたいて、たたいて〟、殻を破るというか。そうすると、最後にはいいアイデアがでてくるんですよ。これまでの教育経験と、子供たちに真摯に向き合っていたからこそだと感じています。

 今、考えていることがあります。当初、子供たちは卒業までに英検準2級相当の能力を目指そうとしていましたけど、最近、僕の中で2級に変わってきています(笑)。どう実現を目指すか。今後の課題になりますね。

 上西 理事長がそう言っている以上、何とかするしかないですね。達成を目指します。

(構成・竹内)

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