【田中賢介・まだ見ぬ小学校へ】雨竜町長・西野尚志氏と語る【後編】

 本誌連載「田中賢介 まだ見ぬ小学校へ」より、雨竜町長・西野尚志氏を迎えての対談を前後編に分けて全文公開する。以下はその後編。

雨竜モデルの確立が北海道への貢献となる

生きた英語に触れ苦手意識をなくす

©財界さっぽろ

 ――お二人は元々面識があったのですか。

 西野 田中理事長と最初にお会いしたのは2016年のファイターズの優勝祝賀会の時でした。一緒に写真を撮り、お話もしました。理事長はファイターズを代表する選手でしたのでやや緊張しましたが、その時も今も気さくで話しやすいです。

 田中 今回の連携協定にあたり、西野町長とはその時以来の再会となりました。我々としては上辺だけではなく、田中学園の子どもたちを育てるのと同じ思いで連携に取り組みたいとお話しさせて頂きました。西野町長はじめ、町の方々も子どもたちの教育について前々からとても重要と考えておられたようで、共感して頂けたと思っています。

 ――双方の連携で英語教育の強化に取り組んでいきます。具体的にどう進めますか。

 田中 本校では体育や音楽などの実技科目を英語で行う、イマージョン教育を進めていきます。これを雨竜小学校とも一緒に取り組んでいきたいと考えています。

 ただ、いきなり全てを変えることは難しいので、徐々にやっていこうと話し合っています。今考えているのは、例えば体育の準備運動を英語で行うというような、5分間くらいの動画を作り、本校と雨竜小それぞれで使用します。

 この教育法を毎日やることによって、子どもたちの英語を聞く、話す能力が段々深まっていきます。英語に対する苦手意識がなくなっていき、中学校入学時にすんなり英語の学習に入っていくことができると思います。週1回2時間より毎日5分の方が英語は身に付きますからね。  本校のネーティブスピーカーの先生も交えて、教員同士の意見交流会なども実施していきたいですね。

 西野 理事長の話を聞いて、英語で実技を行うというのは私たちの発想になかったので、すごく良いなと感じます。教材を共有させてもらって、雨竜の子どもたちが英語になじめるように考えてくれているのはありがたいです。

 田中 それぞれの学校の子どもたちが日常的に行き来をするようになれば良いなとも思います。まずは少しずつ取り組んでいきたいです。

 ――雨竜小の子どもたちには会いましたか。

 田中 はい。緊急事態宣言発出などによりキャンセル続きになっていましたが、先月行くことが出来ました。子どもたちもとても明るく学ぶことにも意欲的で、これはうまくいく!と確信しました。

 西野 ようやく田中学園の皆さんを雨竜町にお迎えすることができて安心しました。雨竜小教職員とも初顔合わせでしたが、和気あいあいとした雰囲気の中で話し合いが行われたと聞いています。

 田中 簡単にはいかないでしょうが、将来的に雨竜小に児童が増えるように、引っ越してでもあの学校に行かせたいと思ってもらえるようになるとうれしいですね。

 西野 たとえば今後、公立の教職員人事でも雨竜小に行きたいと希望される先生が出る可能性もありますよね。そういった意味でもモデルケースになるかもしれません。夢が膨らみます。

雨竜小学校・雨竜中学校 ©財界さっぽろ

雨竜の子どもたちも幸せにしたい

 田中 田中学園の子どもたちも雨竜小の子どもたちと交流することでたくさん刺激を受けると思っています。特に初年度の最上級生の4年生は、3年間お兄さんお姉さんがいません。そこに雨竜小の上級生がいることで良い影響があると期待しています。

 西野 子どもが成長していく上で、小学生の6年間はとても大切ですよね。雨竜小はとても小さな学校です。子どもたちは町の宝物だと思っています。大事な6年間を有意義に過ごせるような、お互いに刺激を受ける交流になればと思っています。

 田中 私たちは結果として、雨竜の子どもたちにも幸せになってほしいと願っています。

 西野 そのお言葉は本当にありがたいです。田中学園には私たちにないアイデアがあるので、それが刺激となって子どもたちにも良い影響を与えてくれると思っています。

 ――今回の連携にあたり、読者へ伝えたいことは。

 田中 田中学園と雨竜町がタッグを組むにあたり、いろいろな協力が必要になってきます。札幌に一極集中にならないように、地方でもいろいろなことができるということを両者で証明していきたいです。そのためにこれからまた皆さんにご協力をお願いしたいと考えています。よろしくお願いします。

 本記事が掲載された月刊財界さっぽろ2021年12月号は、以下の当社公式通販サイトなどからどうぞ。

→Webでの購入はコチラ

→デジタル版の購入はコチラ