【田中賢介・まだ見ぬ小学校へ】田中学園立命館慶祥小学校校長・吉田恒氏と語る(後編)

 本誌連載「田中賢介 まだ見ぬ小学校へ」より、来春開校の田中学園立命館慶祥小学校で校長に就任を予定する、吉田恒氏を迎えての対談を前後編に分けて全文公開する。吉田氏の経歴、執行部体制のほか「地域貢献はもちろん、北海道の教育界に一石を投じたい」という2人の意気込みにも触れている。以下はその前編から。

田中賢介氏 ©財界さっぽろ

技能を英語で習得するイマージョン教育

 ――学校の青写真が見えてきました。

 田中 校舎ができあがり、校章も決まり、これから制服なども発表できると思います。学校開校を発表した当初、暗闇の中をさまよっていましたからね(笑)。いまは着実に前に進んでいるので、入学まで楽しいことが続いています。

 吉田 副校長、教頭のほか、教職員も一部がそろい、児童たちのカリキュラムをつくっている段階です。われわれもワクワクしています。

 ――どんな学校にしていきたいですか。

 田中 ありきたりな話ですけど、やはり学ぶって楽しいと思える学校にしたいです。  

 吉田 田中理事長がいつもおっしゃるのが「子どもたちの可能性は無限大だ」です。田中学園の教育、環境が、児童の興味・関心を引き出すことができると感じています。子どもたちの可能性を追求する学校にしたいです。

 ――田中学園は英語教育に力を入れていきます。

 田中 いまの子どもたちが大学に進学するころには、英語が話せて当たり前という時代になっていると思います。ですから、ここで学んだら自然と英語が話せるという小学校にしていきます。

 英語に加え、情報、体育、音楽、図工などの実技科目では、ネーティブ教員が英語で授業を行い、このスタイルをイマージョン教育と言います。

 吉田 実技科目は動作/技能と英語表現の結びつきが理解しやすい科目です。体育の授業で縄跳びを教えるとします。ネーティブの先生は「Don’t spread your arms too wide.(腕を広げすぎないようにしましょう)」「With your arms and wrists(腕と手首を使って)」と教えます。

 例えば、週末に家で縄跳びを練習するときに、児童が動作と一緒に思い出すのは日本語表現ではなく、英語表現です。これは第二言語習得を促進させる上で有効な方法です。

 ――このほか、特徴的な授業などは。

 吉田 1つ目は算数の先取り学習です。算数では6年間のカリキュラムを5年間で終えるようにします。

 2つ目は算数教育における深い学びです。思考力、判断力、表現力の伸張を目的とした場面では、単にスピードを上げるのではなく、十分な時間を取り、「学びの深度」を意識した学習を行います。

 3つ目はオリジナル授業「Watashi(わたし)算数」です。いま、世界のトップスクールは個別最適化学習に舵を切っています。このWatashi算数は個別最適化を促進させるための「自分の時間」と言えます。

 算数は児童によって定着の度合いに差が出やすい教科です。田中学園には数学オリンピックで国際大会を目指すようなスーパーキッズも入学してくるでしょう。そういった層の児童に有効なアプローチは、教員が高度で良質な教材を提示しながら高い自立的学習習慣をつけさせることです。

 真ん中の層には、この時間を演習の時間に使うことが有効です。中学、高校に行っても四則計算は毎日のトレーニングが大切です。計算問題に取り組むことが習慣化していないと、試験でミスが起きてしまいます。

 算数が苦手な子もいます。この層はWatashi算数の中で、解法を学ぶだけではなく、どんな考え方をしていたのか、どこで思い違いをしたのかなどをグループで話し合いながら授業を進めます。この対話的な学びこそが、「わからないを言語化する力」につながり、結果として算数の基礎力を高めることになります。この物事を説明する力は、中高のステージに進んだ時に、大きな力となります。

吉田恒氏(左)と田中氏 ©財界さっぽろ

参考にしたいと思ってもらえるように

 ――田中学園の目指す姿は。

 吉田 学校開校の根底には、地域、教育界への貢献があります。おこがましいかもしれませんが、田中学園の展開によって英語教育・国際教育・ICT教育などで札幌、北海道教育全体の質を上げることができればと思っています。

 札幌、北海道では私立小学校の文化がまだまだ根付いているとは言えません。田中学園が立命館慶祥と特別提携校として連携したことで、そうした部分にも新しい風をもたらしたいです。

 この田中学園は、道内の教育界の現状に対し、一石を投じる存在になれると考えています。そして、この小学校が北海道教育のプロトタイプになることができるはずです。

 田中 本校が成果をあげられれば、道内の小学校からノウハウを参考にしたいと思ってもらえるようになるかもしれません。そういった使命を持ち、学校運営に取り組んでいきます。

 田中学園という新たな風を吹き込むことが貢献の第一歩になると考えています。

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