【アーカイブ全文公開】東区に出没のクマはどこから?“支笏湖生まれ”も続々、札幌市クマ出没マップ

 きょう6月18日未明、札幌市東区の市街地でヒグマを目撃したという通報が続出。遭遇した住民など4人が襲われ、ケガを負う大きな事件となった。ヒグマはその後きょう午前11時過ぎに北海道警察の指示のもと猟友会のハンターが射殺、駆除された。

クマが逃げ込んだとみられる付近には非常線が張られていた(6月18日午前10時ごろ) ©財界さっぽろ

 大半、または一部が山林に覆われている市南区や西区ではヒグマの目撃情報は頻繁にあるが、東区となると過去5年内に昨年6月の1回だけと相当に珍しい。ただ、同様に過去5年で目撃情報がゼロだった北区で、今年5月末から6月頭にかけて4回にわたってヒグマの目撃情報があったことから出没地に近い緑地を閉鎖するなど、市が対策を講じていた矢先の出来事だった。

 月刊財界さっぽろ2019年10月号では、札幌市が公表する「ヒグマ出没情報」について、過去最多ペースで目撃情報があった19年4月~9月までの半年間について、出没場所の一覧マップとともに解説した。

 以下、当時掲載した内容について、記事の全文とマップ、出没場所と日時の一覧を公開する。前述の通り19年度上半期のものだが、傾向としては今年もほぼ同様のため、どの地域に出没しやすいかなどを参考にされたい。

 なお、今年度の最新情報については市公式Webサイトの以下のページを参照のこと。さらに、ヒグマに遭わない、被害を受けないための情報などは、道Webサイトの環境局自然環境課のコンテンツもご覧いただきたい。

 ◎札幌市公式サイト「ヒグマ出没情報」

 ◎北海道公式サイト「自然環境課」

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 ヒグマと人間の距離は近くなっている。そんな印象を抱かざるを得ない事象が2019年8月、札幌市南区で発生した。連日テレビニュースに映されていたのは、住宅街に出没したクマの姿だった。当初は人を見ると逃げ去っていたが、そのうち慣れたのか、パトカーの目の前で堂々と家庭菜園のトウモロコシをほおばる姿まで披露。結局、市はこのまま放置すると人に危害を与える恐れがあると判断。8月14日に南区藤野の山林でメスのクマが射殺された。

 19年度の市内の出没情報は9月7日時点で178件。2014年度は89件だったので、5年で倍になったことになる。

 1990年までは全道規模で春グマ駆除がおこなわれていた。石狩西部では絶滅寸前になり、環境省は同地域に生息するヒグマをレッドリストに登録。現在も保護を求められている。

 ヒグマの生息地は道内5地区に分けられており、札幌は「積丹・恵庭地区」に属する。道のデータによれば、12年時点で同地区の推定生息数は200~1400頭。

 札幌市が15年に行った調査では、市内・近郊にオス5頭、メス12頭の定着が確認された。実際にはその数をはるかに超えるヒグマが生息していると見られている。

 特に出没情報が多い南区の山林は、ヒグマの生息地と見られている支笏洞爺国立公園と地続きになっており、クマも行き来しやすい。

 最も有効なヒグマ対策は出会わないこと。そこで本誌は市内のヒグマ出没マップを作成した。秋のキノコ狩りなどに出掛ける際の参考にしてほしい。出会ったら絶対に走って逃げたり、叫んではいけない。目線をそらさずゆっくりと後退するのが正解だ。

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