【今月号特選記事】“核のゴミ騒動”寿都町・片岡町長への“刺客”探しに奔走する町民たち

「高レベル放射性廃棄物最終処分場」、いわゆる核のゴミの処分場選定に向けた第一段階「文献調査」を進める、後志管内寿都町。現町長・片岡春雄氏の任期満了まであと半年と迫る中、片岡氏は今年3月の町議会で、6選を目指して町長選の出馬を表明した。

片岡春雄氏 ©財界さっぽろ

 片岡氏は1949年旭川市生まれ。専修大学卒業後、都内でサラリーマンとして勤務したが退職。その後、旭川市に戻ったものの、兄の知り合いだった当時の寿都町長・川村留治氏の誘いで町職員に。2001年に当時町長だった升田重蔵氏が死去すると、町長選にいち早く名乗りをあげた。

 選挙では元教育長との一騎打ちを制し、初陣を飾った。その後5期連続で当選。2期目以降は無投票が続いている。

 20年8月、片岡氏が文献調査への応募の意向を明らかにすると、道内外から同町に注目が集まった。

 反対派の町民のほか、道や周辺自治体から多数の批判が寄せられたものの、10月8日に正式表明。2か月後の12月からは、原子力発電環境整備機構(NUMO)による文献調査作業が始まった。調査期間は約2年、その間最大20億円の交付金がまちに入る。

 片岡氏は本誌インタビューで「次の選挙の公約には概要調査の推進を掲げたい。ここまで取り組んできた責任は、最後まで取りたいです」と語っている。

 一方、反対派の町民たちは片岡町政にNOを突きつけている。町内には「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」(町民の会)と「脱・肌感覚リコールの会」(リコールの会)という2つの市民団体が発足。両会は次期町長選に向けてそれぞれ候補者選びに動いた。

 町民の会は30代の役場職員にオファー。しかし、子どもが小さいことを理由に立起は辞退したという。

「『次の機会には必ず手をあげる』と約束してくれました。なので、片岡町長と戦って、勝てば1期のみ務めてくれる人材の確保をリコールの会にお願いしています」(町民の会関係者)

 リコールの会が触手を伸ばしていると噂されているのは3人。1人目は元助役の町議、越前谷由樹氏。片岡氏が初当選した際、役場の票を取りまとめた腹心だったが、意見の相違から立場を追われた人物だ。越前谷氏は「名前を挙げてもらっていることは光栄だが、町議としての職務を全うしたいと思っています」と出馬説を否定した。

 2人目は役場OB。「町外に住む人物なのでは」(地元関係者)と言われているものの、詳しい人物評は不明。3人目は同会の共同代表の1人であるペンションオーナーの槌谷和幸氏だ。

「現在、候補者を探している段階。それ以上お話できることはありません。お声がけしている方に断られた場合は、最終的に私が出ます」と意気込んでいる。

 現在発売中の月刊財界さっぽろ2021年6月号では、この寿都町長選挙を始め、今年から来年にかけておこなわれる道内注目の市町村長選挙をピックアップ。先頃、現職衆院議員が勇退の意向と伝わった道6区の中心都市・旭川市では現職の西川将人氏が後継として立てば、ドミノ式に市長・道議・市議と補選“4重奏”の可能性も。

 また“三顧の礼”で迎えられた道出身の町長が1期で引退してしまった後志管内古平町のゴタゴタ、北海道日本ハムファイターズの新球場完成を控えた北広島市長の上野正三氏の動向など、盛りだくさんの内容でお届けしている。

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【お詫びと訂正】 財界さっぽろ6月号内で片岡氏の兄の知り合いである当時の寿都町長が升田氏になっておりました。正しくは上記の通り、川村氏です。お詫びして訂正いたします。