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Interview

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「野球への恩を返したい」掲載号:2017年9月

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山川広行 札幌ドーム新社長・前北海道銀行副頭取

日ハムが新球場を建設して札幌ドームから本拠地を移したら、球場経営は厳しくなる――巷間、そう見られている。運営会社の「札幌ドーム」の社長に就任し、あえて難題に挑もうとする山川広行氏に話を聞いた。

道銀の堰八会長、笹原頭取と同期

――北海道銀行の副頭取を退任し、6月30日に札幌ドーム社長に就任しました。銀行マン時代はどんな分野で仕事を。

山川 主に営業畑を歩みました。副頭取の時も営業部門を統括していました。

――道銀の堰八義博会長、笹原晶博頭取とは入行同期で、山川さんは営業部門で2人を支えてきたと聞いています。

山川 堰八さんと笹原さんは、本部で経営戦略にかかわる仕事にたずさわり、苦しい時期、道銀を引っ張ってくれましたので、いずれはトップに就いてほしいと思っていました。

――大学時代は野球部に在籍していたと聞きました。ポジションは。

山川 北大でピッチャーをしていました。同じ道銀の出身で、北海道観光振興機構で専務理事をしている村上則好さんとバッテリーを組んでいました。

――今も野球を。

山川 母校の旭川北高校の仲間が中心になって立ち上げた草野球チームに入っています。昨年は1試合だけマウンドに立ちました。今後はどうかな……次に出場する時が引退試合になるかもしれません(笑)

――双子の息子さんは甲子園に出場したことがあるそうですね。

山川 ええ。私なんかよりずっと息子たちはいい選手です。自分が甲子園にたどり着けなかったので、夢を託した部分があったかもしれません。2人が小さい頃から野球を教えていました。2人が入ったリトル(小学生対象)、シニア(中学生対象)のチームでもコーチや監督を務めました。

自分自身、野球を楽しみ、野球を通じて生涯の友人、仲間ができました。父として息子たちにも同じ経験をしてほしかった。

――社長就任の経緯についてうかがいます。札幌ドームの大株主である札幌市の首脳から、道銀の首脳陣に話があったのがきっかけですか。

山川 頭取の笹原さんから話をいただき、すぐに決断をしました。ずっと野球にかかわり、野球に育てられてきました。札幌ドームの運営会社の社長にという話に、巡り合わせを感じました。還暦を過ぎ、残りの人生の中で札幌ドームの運営を通じて、野球を始め、サッカーなどのスポーツへの恩返しができると。

――日ハムが新球場を建設し、札幌ドームから去ることを検討しています。

山川 日ハムさんが残ってくれるのが当社にとってベストです。来年3月までに新球場構想について一定の方向性を出すそうですから、動きを見守りつつ、対応をしていきます。

日ハムさんが発表したボールパークのイメージ図を報道で拝見しました。大変、大がかりなもので、残念ながら札幌ドームでのボールパーク実現は、物理的に難しい。

現段階では2022年シーズンまでドームで、と聞いています。その間、選手のみなさんがいいパフォーマンスでプレーできるよう引き続き、できるだけのことをしていきたい。19年シーズン前には人工芝を更新する予定です。

――日ハムが出ていくと経営的には痛手です。

山川 当社としては収入の3本柱の1本を失うことになり、穴を埋めていかなければなりません。

北海道の宝をしっかり維持していく

――収入源の3本柱とのことですが、残り2つは。

山川 日ハム関係が1番大きく、収入のおよそ3割を占めており、次がサッカー。もともと札幌ドームは日韓ワールドカップの試合ができるように整備され、国際試合ができる高い水準の施設です。コンサドーレさんのホームでもあり、Jリーグの試合を年20試合弱、開催しています。そして3つ目がコンサートなどのイベント使用による収入です。

日ハムさんが出ていくことが決定的になったなら、今後、イベントの収入も増やしていかなければならない。イベントの誘致、開催はすぐに決まるものではありません。今はすぐにアクションを起こせませんが、今後のためにアイデアを考えておきたい。

――コンサート以外でも、さまざまなイベントが開かれていますね。

山川 つい先日おこなわれた6時間リレーマラソンは年々、参加者が増え、今や一大イベントです。8月11、12日に開催する予定(インタビューは7月25日におこなった)の「サッポロモノヴィレッジ」は昨年に続き、2回目になります。

――それはどのような催しですか。

山川 各地のクリエーターが自分が作ったアクセサリーやバッグや陶器などを出展するマーケットです。昨年は2日間で延べ1100ブースが出て、来場者数は3万8000人。今回は倍近くの出展になります。

11月23、24日に開催する「ハッピーママフェスタ」も今年が2回目。子育て世代の女性や家族をターゲットにしたイベントですが、その中でサツドラさんのフェスタも同時開催します。こうした企業に使っていただくイベントも、増やしていきたい。

――銀行時代から、法人営業はお手の物では。

山川 いえいえ、経験豊富な社員がいますから。ただ、銀行員時代に各地の支店で働き、本店長も経験して最後は営業統括の副頭取でしたから、全道の経営者とお会いさせていただきました。機会があるなら、積極的に動きます。

――あらためて札幌ドームの存在意義について。

山川 北の大地・札幌で冬でも大きなイベントの開催が可能で、サッカー、野球、コンサートもできる世界唯一の多目的ドームです。19年のラグビーワールドカップ日本大会の試合会場にも選ばれました。

札幌ドームはエンターテインメントの場であり、情報や文化の発信拠点であり、人が集う交流の空間です。道民のライフスタイルに影響を与えてきたと思っています。北海道の宝と言ってもいい札幌ドームをしっかり維持することが、私の責務だと考えています。

=ききて/野口晋一=