民泊事業の深化でブレークアウトが 新たな局面へ
市場拡大を背景に経営基盤の強化を推進
10月に創業10期目を迎える「ブレークアウト」(本社・札幌市)は、インバウンド需要を的確に取り込んだ民泊事業で業容を拡大し、来春には新たにホテル事業もスタートする。事務所移転や新体制など、新たな局面に入った同社の藤田龍之介社長に現況を聞いた。
創業10周年を迎え、組織体制を強化
――業績は好調ですね。
藤田 今期の売上高は30億円を超える予想です。会計基準を変更しましたが、前期比は大幅に伸長しています。
――最大の要因は。
藤田 コロナ禍が終息したことでインバウンド需要が戻ってきましたが、民泊というビジネスモデルに加え、当社にご依頼いただくことによる優位性などが広く知られるようになったからと認識しています。
――民泊施設の管理戸数も増えていますね。
藤田 自社所有物件は1年間で10棟手掛け、30棟となりました。全体の管理戸数は前期比1・6倍の400戸に達しています。
――やはり札幌が多いのでしょうか。
藤田 道内全域に対応しており、札幌以外の物件も数多く管理させていただいています。特に最近増えているのは、旭川や富良野近辺です。もちろん札幌市内も増えており、この3市合わせて前年比で120戸増となりました。
――今後はどのような展開を見据えていますか。
藤田 民泊に関しては幅広く手掛けていきます。現在は手薄な函館や稚内、知床エリアなどにも厚みを持たせたいと考えています。
――好調な業績を受けて本社を移転しました。
藤田 取り扱い物件が増えたことやスタッフが増えたことに加えて、組織の体制も整備したため、以前の事務所は手狭になりました。移転に合わせて「開発本部」「運営本部」「不動産事業部」「管理部」の4部署体制にし、それぞれ専門性を高めました。社外から取締役を1人選定し、各部署には部長も配置して、より強固な組織づくりを進めています。
ベンチャーからスタートし、来期は10期目の節目です。より安定感のある企業へと発展するための組織固めです。人材採用にも有効ですし、金融機関からの評価が高まることにも期待しています。
新規事業としてホテル運営に参入
――来春には新しい事業も開始すると聞きました。
藤田 これまでの民泊事業のノウハウを活かして、無人型ホテル事業に参入します。来年3月に建物が竣工し、5月に運営をスタートする予定です。
――どのようなホテルになるでしょうか。
藤田 無人型ですが他のホテルに引けを取らない高級感あるホテルを目指しています。立地もススキノの繁華街に近く、外観や内装、調度品などにもこだわっており、「ここに泊まりたい」と思ってもらえる〝プレミアム感〟を提供していきます。
――参入の経緯は?
藤田 創業10周年を迎え、次のフェーズに入るには、より大きな物件の取り扱いが必要だと判断しました。安定成長の成果でもあり、これまで400戸の民泊施設を管理していることを活かせると考えました。当社の民泊物件は間取りもデザインもさまざまで、札幌はもちろん地方にも数多くあります。こうした多様な運用実績をデータ化し、ホテル事業でもノウハウを活用していきます。
――ホテル事業は今後も拡大させる予定ですか?
藤田 ホテル運営は一度に多くの戸数を展開できるため、事業規模の拡大には欠かせないと考えています。ホテル名を「BreakOut Hotels」とし、シリーズ化していく方針です。そのためにも、第1弾からグレードの高さで支持を集めたいと考えています。
――今後のビジョンは。
藤田 当社の目標は「北海道観光のパイオニアであり、トップランナーであること」です。事業の中核に据えている民泊は「北海道市場を圧倒する」という方針を掲げ、管理戸数1000戸を第一の目標に据えています。
北海道は「自然」も「食」も充実しており、観光地として高いポテンシャルがあります。道内は宿泊事業のほか、交通インフラ事業など道観光における〝縦軸〟、一方で本州や海外では宿泊事業の拡大という〝横軸〟の事業構成で、さらに成長できるよう邁進します。
(ききて・氏家)