浅野板金工作所
〝人材力〟と〝現場力〟をテーマに成長を続ける
建築板金工事を手掛ける「浅野板金工作所」は、人手不足や技術継承が課題とされる業界の中で、独自の人材育成と〝現場力〟を武器に進化を続けている。
道内全域で年間800棟以上の施工を手掛け、売上高・施工数ともに道内トップクラスの実績を誇る。
率いるのは4代目の讃良貴志社長だ。従業員は20人の精鋭ぞろいで、機動力を生かしたスピード施工が大きな強み。複数の現場を同時に進行できる体制を構築しており、迅速かつ確実に対応できる点が顧客からの厚い信頼につながっている。
同社の成長の根源にあるのが人材育成に対する独自の考え方だ。讃良社長は「当社は〝トタンいじりのスペシャリスト〟です。現場では単なる技術の習得ではなく、仕事のやりがいや面白さを伝えることに力を注いでいます。自ら考え、興味を持って仕事に取り組む環境を整えることで、技術はおのずと身についていくと考えています」と語る。
こうした育成方針により、若手社員の定着率は高く、経験を積んだ人材が増えたことで、施工力も底上げされた。結果として、受注が増える好循環を生んでいるという。
一方で、建設業界全体でAIやDXの導入が進む中、現場管理や情報共有に必要なアプリなどは活用しつつも、あえて過度なデジタル化には踏み込まない姿勢を貫いている。これは讃良社長の「職人の本質は人と人とのコミュニケーションにある」という考えからだ。
一見すれば、時代に逆行しているように感じるが、同社にとっては進化の一つ。効率化だけを追い求めるのではなく、現場での意思疎通や顧客との信頼関係を重視することで、施工品質やチーム力を向上させている。
人の力を最大限に引き出すために、必要なものだけを取り入れるバランス感覚と柔軟な判断が、〝現場力〟と〝人材力〟を兼ね備えた組織運営を実現している要因だ。
「今年度は社屋の移転・拡張も計画しています。施工体制の強化と人材確保を同時に進めることで、より多くのニーズに応えていきたい」と讃良社長。