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北海道賃金労務研究所

石田 和彦
いしだ・かずひこ/1992年北海道大学卒業後、食品メーカーに研究職として入社。2003年社会保険労務士登録。07年北海道賃金労務研究所設立。特定社会保険労務士。

豊富な経験と実績を生かし、労務の課題を解決

 近年はAIの発達により経営の悩みに安易に答えを導き出せるようになった。しかし、労働現場で起きるトラブルは企業ごとに千差万別で〝グレーゾーン〟となる事象も多い。こうした中、豊富な経験と実績を生かし人事労務の相談や労働紛争の未然防止、解決までコンサルティングしているのが「北海道賃金労務研究所」だ。

 紛争解決手続きの代理業務を行える特定社会保険労務士の石田和彦代表を筆頭に、総勢13人の社会保険労務士資格保有者が在籍。上場企業から中小企業までの600社の顧問を務める。

 石田代表は「法令解釈や汎用的な情報収集はAIで行えますが、何より人間は感情の生き物です。また、トラブルごとに背景が違います。解決に向けた道筋選択や交渉カードを切るタイミングは専門家に相談すべきです」と社労士の重要性を強調。

 社内ルールなど制度設計も担う。特に就業規則が古いままでは、トラブルにつながりやすい。「就業規則は雇用契約の内容となるため、法改正はもちろん、近時のトラブル傾向に対応できるよう定期的な見直しが必要です」(石田代表)

 パワハラ研修依頼にも対応する。「一発アウトなセクハラと異なり、パワハラの場合はケースバイケースで判断される。管理職が過剰に心配する必要はありません」と佐々木康晴社労士。

 一方でパワハラ発生の最大の要因は「管理職に適性のない人を配置してしまったこと」(石田代表)と語り、人事制度の導入も推奨する。

 しかし、特に中小ではせっかく人事制度を導入しても運用できていない企業も多い。

「中小企業向けには詳細な人事制度ではなく昇格に焦点を絞った昇格審査の重要性を提言しています。あらかじめ昇格要件を文章化しておけば、社員自身が客観視でき、若手のモチベーションアップにもつながる」と佐々木社労士。

 M&Aに関わる会社の労務相談も増えている。買い手側は労働条件や就業規則などを統一したいが、買収された側の従業員にとって不利益な変更となるケースも少なくない。

「就業規則等の変更には猶予期間を設けつつ、全てコンサルタントに任せきりにせず担当者も誠意を持って丁寧に説明を尽くすことが重要です。最後は人と人の向き合い方で決まります。法律論で押し切っても社員のモチベーションが下がるだけ、禍根を残すだけ」と石田代表。

 同事務所では「開本法律事務所」や「中原圭祐公認会計士・税理士事務所」などと連携し「マネジメントコンサルティンググループ」も形成。ワンストップサービスを提供している。

佐々木 康晴
ささき・やすはる/2010年青山学院大学法学部卒業、同年北海道賃金労務研究所入所。14年社会保険労務士登録。特定社会保険労務士。