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システムドライブ CEO 瀬尾 隆氏

(せお・たかし)1974年北見市生まれ。札幌ソフトウェア専門学校(現札幌情報未来専門学校)卒業後、ソフトウエア会社で勤務。28歳で独立し、2019年システムドライブを設立。医療情報技師、情報セキュリティマネジメント、第2種情報処理技術者(現基本情報技術者)。剣道二段。

医療機関とともに歩む頼れるITパートナー

医療を支えることが使命だと感じる

――事業内容は。

瀬尾 医療分野のITに特化し、院内システムの導入や保守業務全般を手掛けています。これまでに多くの医療機関や自治体と連携し、さまざまなシステムを導入してきました。

現在は医療機関のニーズに応じて、かかりつけ医の情報を絞り込み検索できるツールや診療の待ち時間を可視化するサービス「お待たせ案内」など、一般向けの製品を含め独自のパッケージソフトやシステム開発にも取り組んでいます。 

――創業の経緯を教えてください。

瀬尾 ソフトウエア会社で勤務後、28歳の時に独立しました。SEという1人の技術者として勝負したいと思い、独立して最初に携わったのが医療システムの新規開発プロジェクトで、そこで初めて医療業界に触れることになりました。電子カルテをはじめ、検査や会計に関わる医療システムに携わる中で、医療現場の奥深さを感じると同時に、ITが果たす役割の大きさを実感しました。

医師や看護師、スタッフの方々と一緒に仕事をする中で、医療は止められない現場であり、その業務を支えることこそが自分の使命であると強く感じるようになりました。 一方で、システム開発や導入支援、営業、財務会計といった業務を1人で担っていたため、大変さもありました。仲間を増やし、もっと大きな仕事にチャレンジしたいという思いもあり、令和元年に会社を設立しました。

――道内医療機関のシステム化の現状は。

瀬尾 小規模な病院や診療所が大半を占めており、いまだに紙カルテを主体とした運用が残っています。一方、診療費の計算や診療報酬請求を電子化する医事会計システムについては、ほとんどの病院が導入しており、一定のシステム化は進んでいます。

しかし、 医療機関の規模や予算の制約から、専任のSEを雇用できない場合も多く、 日々のシステムトラブルに頭を悩ませているケースも少なくありません。医療従事者に患者の治療に専念してもらうためにも私たちがIT面を支えていければ。

――ニーズに沿った製品展開をされていますね。

瀬尾 当社の一番の強みは、小回りの利く営業スタイルと現場に寄り添う柔軟さです。医療機関の多くは、独自の運用スタイルや制約があり、システム会社側の対応力が必要です。突発的なトラブルが起こった際には、すぐに動けるかどうかも非常に重要です。私たちは、現場の声をダイレクトに受け取り、即日から数日以内に対応策を提示できる体制を整えています。

――機動力の高さを商品化されています。

瀬尾 「レスキューSE」は、IT担当者の常駐雇用が難しい医療機関に向けたサービスで、システムの不具合や何か困ったことがあった際に当社のスタッフがサポートを行うというものです。

専用サイトから問い合わせができる仕組みで、電話やメールでの相談も柔軟に受け付けています。医療情報技師の資格を保有するスタッフが対応するので、医療特有のシステムも安心してお任せいただけます。

また、ある診療所から「こういう機能がほしい」と相談があった際には、1週間以内に試作版を提示し、そのまま導入に至ったケースもあります。このようなスピード感と柔軟さは、大手にはなかなか真似できない武器だと考えています。

医療機関の皆様には「すぐに相談できる、顔の見えるSEがいる」という安心感を提供できる点も評価いただいています。単なるベンダーではなく、医療機関の隣にいる〝ITパートナー〟として選ばれていると感じています。

――来年リリース予定のサービスもあると伺いました。

瀬尾 「ROSA(Request for Overtime System Application)」は、日々の残業申請や承認、経理処理をワンストップで管理する残業申請システムです。現場の声を反映させながら試験的な運用を進めているところです。給与ソフトとの連携も可能で、事務作業の効率化に寄与すると考えています。

――人員も拡充しているそうですね。

瀬尾 創業当初は私1人でのスタートでしたが、今では優秀な社員が増え、組織としての基盤も整ってきたと思います。働きやすさを向上させるために福利厚生の充実にも力を入れています。 

また、医療SEや医事SE、介護SE、調剤SE、開発SEといった医療分野に特化した人材育成を強化しています。 彼らが現場で活躍することで、医療機関全体のIT活用力を底上げしていくことを期待しています。 

――今後のビジョンについては。

瀬尾 医療システムは一度導入すれば終わりではなく、日々の運用に寄り添い続けることが求められます。 医療機関で働いている方々は医療のプロであり、私たちは医療システムのプロです。 それぞれの専門性を尊重し合いながら、導入から運用までを支援するパートナーとして、ともに歩んでいきたいです。

さらに「レスキューSE」をより拡充させ、道内の医療機関のIT負担の軽減につながればうれしいですね。 将来的には全国の医療機関にも新しい価値を提供していくことを目指しています。現場の小さな困りごとにも真摯に耳を傾け、システムを通じて解決していきたいです。 

 

飲み会やイベントなど社内の交流も盛んだ