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WINNOVATION 社長 林 龍馬氏

(はやし・りゅうま)1991年札幌市生まれ。北海学園大学卒業後、製薬会社のMR(医薬情報担当者)として7年従事。2018年WINNOVATIONを設立。現在は医療、不動産、飲食の多角化経営を進めている。

AIと〝人財〟を武器に〝医・食・住〟の価値を創造

調剤薬局が拡大中AIの研究もスタート

――2018年の設立から急成長を遂げています。起業の経緯は。

 元々学生時代に30歳までに独立すると人生設計を立てていました。その後、新卒から7年間、製薬会社のMR(医薬情報担当者)として調剤薬局を訪問する中、競合の少ない〝在宅専門〟の調剤薬局運営に可能性を感じたのがきっかけです。ちょうど30歳の時に調剤薬局を2店舗立ち上げました。

――エリアと現在の店舗数は。

 札幌市、東京都、埼玉県の計6店舗です。11月に仙台市、12月に神奈川県、今冬にはM&Aで西区琴似にも展開します。

――売上高は。

 現在は9億円です。仙台の店舗がオープンすると、10億円台に乗ると見込んでいます。現在は店舗拡大のフェーズですが、先を見据えた戦略を立案し、事業を展開していかなければならない。そのための準備も並行しています。

――具体的には。

 AI(人工知能)を活用した〝調剤薬局のDX化〟です。業界全体でDXは徐々に進行していますがまだまだ発展途上にあり、先手を打ちたい。4月から北海道大学でAIを研究した優秀なエンジニアが仲間になってくれました。

現在、AIと生体認証を組み合わせた「誤薬防止アプリ」の研究開発を進めています。完成すれば薬剤師の業務負荷軽減、患者さまの安全性向上などが図れるため、必ず実現させます。

――飲食と不動産事業も展開しています。なぜでしょうか。

 変化の激しい現代では、事業の多角化は安定した経営基盤の確立につながると考えているからです。

当社では〝医・食・住の提供で豊かな生活を実現する〟というビジョンを掲げています。〝医・食・住〟は造語ではありますが、誰もが生活する上で欠かせないものです。このビジョン実現のために飲食と不動産事業を行うことは、避けては通れないと考えています。

SNSで〝大バズり〟新店舗が続々オープン

――飲食事業の展開は。

 札幌市と千歳市にラーメン店「満足ヌードル」「札幌麺屋一馬」「RAMEN RS改」の3ブランドで6店舗を運営しています。

直近では8月に満足ヌードル北郷店がオープンしました。この店舗は、元々20年ほど営業していた人気店でしたが、運営会社が変更したのを機に味も変わってしまい一度閉店した経緯があります。私も大好きなお店だったため、何とか昔の味を取り戻せないかと考えた結果、当社が店舗を取得し当時の店主を迎え入れて、再オープンさせることができました。

オープン初日には地元のお客さまを中心に、約600人が来店されました。本当にやって良かったと感じています。

――ススキノにある一馬は、SNSで大きな反響がありました。

 3月にプレミストドームでライブを行ったアーティストの「Nissy」さんが来店し、SNSにアップしたことでファン約500人が一挙に来られました。

さすがに店員も混乱していたので、当日は私も現場に入り朝まで手伝いました(笑)。この件で一馬の知名度が一気に上がったため、Nissyさんとファンの皆様には本当に感謝しています。

――24時間営業を開始します。

 実はススキノで24時間営業を行うラーメン店はほとんどありません。エリア特性や競合店を分析した結果、勝機が見えたので10月から開始します。

――FC展開も開始しました。

 当社初のFC加盟店舗「RAMEN RS改すすきの店」が8月にオープンしました。全面的にバックアップしていき、加盟店を増やしていきたい。

また、ラーメン以外の飲食事業も構想中です。当社は道内企業ですから、海鮮やジンギスカン、スープカレーなど北海道にゆかりのあるメニューを通して、北海道を盛り上げていきたいですね。

夢は全国展開〝人財〟とともに成長

――不動産事業は。

 収益の柱は自社物件の賃貸経営ですが、インバウンド需要から中央区の民泊施設「ハーネスステイ」の売り上げが伸びてきました。今後、不動産事業の売り上げ構成比は民泊にシフトしていくと予測しています。今年も麻生の物件を取得しましたが、今後もコンスタントに年2~3棟の物件取得を目指しています。

――今後の目標は。

 札幌発ベンチャーとして全国展開を果たし、売上高100億を目指したい。そのために必要なのがテクノロジーの力であると考えており、エンジニアの採用とAIの研究開発はその布石です。3つの事業にITを掛け合わせて、事業規模を拡大していきます。

――拡大には人材が必要ですが、採用は順調ですか。

 ありがたいことに私の思いに共感してくれる人が多く、20~40代のさまざまな仲間が集まっています。今後、ティックトックやインスタグラムなど、SNSを駆使した採用施策を進めるため、専用の部署も立ちあげました。

社員は〝人財〟です。常に仲間の考えや価値観に触れて〝自分はどうあるべきか〟を模索して、大事にしていきたい。そして、彼らの人生がより良くなるために経営していく。プレッシャーは大きいですが、必ずやり遂げます。

10月からススキノで24時間営業を開始する「札幌麺屋一馬」