池田熱処理工業

油圧シリンダー製造を強化。技術の継承にも取り組む
金属加工会社「池田熱処理工業」は、「熱処理加工」の道内トップ。鋼を加熱、急冷して硬化させる技術で、自動車部品などに用いられる。航空機部品を製造可能な炉を保有するなど、積極的な設備投資でも知られる。
部品の熱処理だけではなく組み立てまで一貫して手掛ける。特に油圧シリンダーは、本州の建設機械や農業機械メーカーから引き合いが多い。
新設備の導入も進める。5月には製造後の油圧シリンダー等に圧力をかけ、性能をチェックする「油圧耐圧試験機」が稼働。従来機に比べ2倍以上の高い圧力による試験が可能となった。
髙嶋一広常務は「道内では、工業試験場も含め、ここまで高いスペックを有する試験設備はない。より大型のシリンダー検査が可能となったほか、検査の内製化で品質を担保できる。他社製品の検査受託なども検討しています」と話す。
また昨年2月から独自の生産管理システムが稼働。データベース化することで、属人化していた業務の共有化が可能となり、生産性の向上にも寄与している。
「紙のファイルから図面や作業指示書を探し出すといった煩雑な作業が大幅に減った」と大嶋康裕製造部長。
今後は蓄積されたデータを技術の継承にもあてていく。業界全体では高齢化により職人が引退。技術が失われ製造ができない部品も少なくない。
「今は『先輩の背中を見て覚える』という時代ではない。若手や今後入社する世代に向け、3年をめどに、製造手順などのマニュアル化を進めています」と髙嶋常務。
このほか、昨年から完全週休2日制を導入。24時間稼働の製造業では全国でも珍しく、年間休日120日を確保。今年も2人の新卒が入社するなど、採用面も好調だ。

