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北栄運輸

採石業を手掛ける常呂トラックをM&Aで取得

異業種企業のM&Aでシナジー効果とリスク分散を図る

 自動車部品や化学薬品、学校給食など多岐にわたる〝モノ〟の輸送を手掛ける「北栄運輸」。なかでも鶏卵輸送は道内トップシェアを誇る。

 繊細で鮮度が命と言われる鶏卵を消費者に届けるには、細心の注意を払いつつ、迅速さも必要となる。加えて温度管理やウイルス・病原菌対策のために衛生や防疫に関わる知識や技術も欠かせない。高度な輸送技術が求められる。

 この輸送のスペシャリスト集団をけん引するのが木原雅史社長だ。

「最も力を注ぐのが人材の育成と確保です。ベースアップや退職金制度の導入、福利厚生を充実してドライバーが働きやすい環境を整備しました。従業員の定着により輸送品質も向上し、取引先のニーズにも応えられるようになりました」と木原社長は成長の要因を語る。

 2017年には岩手県、19年には恵庭市にも営業所を開設し業容を拡大中。12年前の社長就任当時は30人程だった社員数は、現在100人を超える。

 さらなる発展を目指し、異業種企業との連携も模索している。

 一例が、23年2月に岩石や砂の販売と運搬を手掛ける採石業の「常呂トラック」(本社・北見市)の取得だ。

「歴史があり地元地域に根付いている企業です。M&A後に真っ先に着手したのは、従業員との距離を縮めること。風通しのいい職場にすることで従業員の士気も上がり、取引先からの評価も上々と感じています。現在、従業員は30人規模ですが、50人程度まで拡大させるのが当面の目標です」と木原社長。今後も異業種企業との積極的なM&Aを行う計画だという。

 さらに木原社長は「M&Aはあくまでも北栄運輸とのシナジー効果が見込めることが前提ですが、傘下に複数の事業を据えることで、市況や環境変化のリスク分散にもつながります。今後もM&Aを駆使して業容を拡大していきます」と先を見据える。

木原雅史社長
鶏卵輸送がメーンの北栄運輸では100台を超える車両を保有